記憶が「心」をつくる/池谷裕二「単純な脳、複雑な私」

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先日、ブルーバックス創刊50周年記念の講演会が開催された。
登壇者はブルーバックスから近刊の著書を出版された

  • 宇宙物理学の大栗博司
  • 脳科学の池谷裕二

大栗氏の著書は以前紹介したことがあるので、

今回は池谷氏のこの日の講演と、
途中まで読んだ「単純な脳、複雑な私」から覚え書き。

脳には世界を勝手に解釈する性質がある
たとえば私たちが目の前に広がる景色はほぼ幻想。

  • 網膜で色を判断できるのはごく狭い範囲
  • 視神経は100万本の細胞だから100万画素のデジカメ

だから脳の働きなしではこの世界は、
画像が荒くぼんやりしていて、周辺視野は白黒になってしまう。

こうした部分から全体を類推する脳のはたらきは、
日本文化の「引き算の美学」を成り立たせる前提といえるね。

また恋愛感情は脳からの魔法のプレゼント

高度な知性を身につけた人間がパートナー選びに迷いすぎないよう、
長く一緒にいれば好きになってしまう機能が脳にはあり(単純接触現象)、
身近にいる「まぁまぁ良い人」と一緒になれるようになっている。

さらに私たちが過去・現在・未来と流れる時間の中で、
1人の人間として連続していたことを保証するよりどころが「記憶」。
ある意味「心は記憶に宿っている」と表現してもいいのでは?

私たちの外側をとことん追求すれば宇宙の果てに行き着き、
内側をとことん追求すれば脳細胞にたどり着く。

遠く離れた二分野を追いかけたら、面白いこと思いつかないかな…

宇宙物理学と脳科学に興味津々なのはこの辺が狙いなのだ。

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