アラン「幸福論」が本屋で品切れが出るほど人気だとか。
でも、どっちかというと、今日紹介する本の方がおもしろいかもよ。
精神と情熱を中心に81のテーマをシンプルに論じた哲学入門書。
日本語に翻訳したのが、小林秀雄というのがこれまた興味深い。
独特な定義付けがさえていて、天才・笑い・正義の章から抜粋すると。
「天才に最も遠いものは、自我の限定であり定義であろう。・・・誰でも思いきってなろうと思えば、まったく新しくなれるものだ。だが思いきらせるものは素直さだ。」
「微笑は笑いの完成だ。・・・微笑のうちではいっさいがくつろぎ、なんの不安も抵抗もないからだ。」
「正義は外からの助けをなに一つ借りないで、ただ自己の力で、会ったこともない知らない人間を相手に、作ったり作り直したりしなければならぬ或るものだ。」
今の時代だからこそ目を引く部分は「連帯関係」を論じた章だろうか。
すっかり「絆」ボケ状態の世の中に、往復ビンタをくらわせる。
本当の「絆」とは、なまやさしいものではないのだと…
「少なくとも強い友情はある不信と抵抗とからはじまるのが自然・・・恋愛や友情を生むには強制が必要なのだ。」
「連帯関係とは・・・意気のあった仲間同士の間のきずなではない。無遠慮や和解しがたい敵同士の間のきずなだ。」
精神と情熱とに関する八十一章 (1997/04) アラン 商品詳細を見る |
コメント