論壇誌というジャンルの雑誌があることを初めて知った。
読書好きを自称しながら、この体たらくは恥ずかしい限り。
今回、中央公論を読んで、なんだこの面白い雑誌は!
40代後半になるまで知らなかったなんて人生損してた!
これまで読んできた本の著者が対談記事などを通じて、
その主張をギュッと凝縮した言葉を残してくれている。
1980年代あたりから「これからは情報社会だ」といわれてきましたが、30年経って形成されたのは「情動」社会、つまり情報の真偽ではなく、それが快か不快かで動く社会になったように思います。言葉を巧みに操れる人が社会の上層を占めた結果、そうではない人たちにフラストレーションが蓄積され、その反発が世界中で噴き上がっています。(佐藤卓己・2025年7月号 P22)
情報社会ではなく情動社会。
インターネットに寄せられていた希望が失望に変わった、
その時代の変化を一言で表している。
情報発言において自己宣伝が大きなウェイトを占めるようになると、過意な言動で衆目を集めようとする者が出てくるのは避けられない。よほどの蓄積がない限り、実のある情報発言を個人が続けるのには限界がある。それゆえ、喧嘩のための喧嘩、炎上のための炎上が頻発することになる。無論、ソーシャルメディア上で稼いだアクセス数が経済的利益に直結する構造もそれを後押しする。(津田正太郎・2025年7月号 P55)
実のある情報発言を個人が続けるのには限界がある。
20年もブログを続けた私が言うのも笑えるが、まさにその通り!
中央公論に出会ったのをきっかけに、個人発信のサブスクは解約した。
やってくる情報と迎えに行く情報の調整は常に意識していたい。
トランプの相互関税に代表される保護貿易政策や自国優先主義は、衰退期にあるヘゲモニー国家に典型的な行動です。その政治的手法への批判はいくらでもできると思いますが、政策自体は歴史的に見て驚くような話ではまったくないにもかかわらず、大騒ぎになっていることに違和感を抱いています。上り調子のヘゲモニー国家は自由貿易を掲げますが、下り坂では自由貿易で利益を上げることができなくなります。むしろ国際公共財としての自由貿易体制を維持するコストのほうが高くづくようになるので、放棄する圧力がかかるのは当然です。(山下範久・2025年8月号 P32)
いわゆる市場関係者と呼ばれる人々の情報ばかりを追っていると、
二転三転するトランプ発言に右往左往してしまう。
歴史的な視点から俯瞰することの大切さを確認させられる。
1980年代から自動車産業が続々と海外進出しましたが、トヨタをはじめとしてどの企業も国内に生産拠点を残して雇用維持を図りましたし、社会もそれを求めました。物価や賃金の面から見ると、日本に生産拠点を置いたままグローバル競争を勝ち抜くためには、賃金を据え置くしかなかったのだと思います。完全な自由競争に踏み出せば雇用が保証されなくなることを、産業界も組合も、社会全体もそれなりに理解していたのではないでしょうか。結果として過度な不平等の発生を防げたし、政治的な安定をもたらしてきた面はあると思います。(渡辺努・2025年8月号 P72)
長らく這いつくばっていた日本の賃金と物価。
悪い面ばかりが強調されがちだが、メリットもあったのではないか?
それに目を向けることで、これから失われるものが何かを予見できる。
しかし本屋を訪れても雑誌コーナーは素通りだったから気付かなかった。
岩波書店も「世界」って論壇誌を出しているようだから、
今後は本屋で表紙を眺めて興味があるテーマだったら買ってみようと思う。


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