タイラー・コーエン「大停滞」。今年話題の経済書だとか。
「イノベーションの停滞」という観点からアメリカ経済低迷を説いている。
恩恵が万人に行き届かず、一部の人しか恩恵を享受していない。
投資家のみなさんはよくご存じ、金融イノベーションがその代表例。
ここ20年で目を見張るほど進歩したインターネットはどうだろう?
著者は2つの点で、経済面では期待はずれのイノベーションと説く。
1. インターネットはGDPの成長につながらない
インターネットが私たちの生活・思考に及ぼす影響の大きさを考えると、
GDP増加への寄与度が低い。(=無料サービスが多いから)
1回つぶやくよりも、バナナ1本購入するほうが、GDPを押し上げる。
2. インターネットには雇用を生み出す力がない
20世紀前半、フォードやGMが成長した時は、何百万もの雇用を創出。
でも、今日ときめくインターネット関連企業の雇用数は…
Google 2万人、Facebook 1,700人、Twitter 300人。なんと少ないことか!
近年、雇用拡大を伴わない景気回復が起きている理由はここにあると。
ITの技術を持っていない人は、職を得るのが難しく、格差が拡大…。
なるほどインターネットが本当に人々を幸せにしたのか微妙だね。
20世紀後半、ハーバード大学を中心に経営学者が、
「利益率や生産性の向上」や「経営の効率化」なるキーワードで煽動。
彼らの理論には、働く人への配慮なんて存在しなかった。
でも、インターネットビジネスは、彼らの理論にピッタリだった。
ITバブルとともに、こうした経営手法が様々な産業へ汚染が広がり、
経営が数字の遊びと化し、企業そのものが金融商品みたいになった。
その結果、アメリカでは研究開発に時間のかかる産業が崩壊した。
すでに数年前、原丈人氏が「21世紀の国富論」で指摘していたことだ。
そして輸出できる製品のなくなったアメリカは農作物で勝負?(TPP)
アメリカが停滞を抜け出す鍵は、スペースシャトルの技術かな。
シャトル引退で退職したNASAの社員が、新産業を生み出すとか。
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