工藤勇一・苫野一徳「子どもたちに民主主義を教えよう」

この記事は約2分で読めます。

今の読書テーマのひとつ「民主主義の学び直し」。
子供向けの易しい本も読もうと手に取った一冊が、
目的とは少し違ったけど、内容がとても興味深かった。

校長として「学校を民主主義の土台にする」をテーマに、
学校改革に取り組む工藤勇一氏と、哲学者の苫野一徳氏の対談本。

うちは子供がいないから、学校教育とは無縁なので、
今の良い学校はこんな感じなのか!と驚かされる内容だった。

民主主義に対するありがちな勘違い

民主的な社会とは「誰一人置き去りにしない社会」のこと。
対話を通じた合意形成が十分に練られないままに、
多数決でものごとを決めようとしてはいけない。

まずは「みんながOKと言える最上位目標」を決める。
たとえば文化祭なら「生徒全員で観客全員を楽しませる」。
最上位目標は子供ではなく先生が決めてもいい。
あとは子供たちに考えさせて、もし多数決で決めるなら、
A案・B案どちらになっても誰の利益を損ねることがない時のみ。

ルソーも「多数決は民主主義の本質ではない」と述べている。

また民主主義社会では自由が保障されているが、
「他者の自由を侵害しない限り」という条件付きの自由
多様性ばかりが強調される時代だけど、ここを忘れてはいけない。

OECDラーニング・コンパス2030

OECD(経済協力開発機構)が発表した教育界が目指すべき指針。

「個人及び社会の2030年におけるウェルビーイング」を実現するため、
子どもたちに次の力を身に付けさせることが大事と説く。

  • 責任ある行動をとる力
  • 対立やジレンマに対処する力
  • 新たな価値を想像する力

日本語訳全文へのリンク

日本人の忖度好きの源流に国語のテスト?

国語のテストで「このときのAさんの気持ちは?」という問いが多い。
空気を読むことが重視されていて、忖度の仕方を教えているみたい。
子供たちに意識させるべきことは「誰が気分を害するか」ではなく、
「誰の利益を損ねるか」を考えさせることが大切なはず。

意識改革の3つのステップ

  1. 自己矛盾が起きる(普段はあまり意識しない本質的な問いをきっかけに立ち上がる)
  2. 優先すべきものを自問自答する(白か黒か、善か悪かの単純な二項対立で考える癖をやめる)
  3. 矛盾しない自分に変わっていくプロセスを考える

コメント