今の読書テーマのひとつ「民主主義の学び直し」。
子供向けの易しい本も読もうと手に取った一冊が、
目的とは少し違ったけど、内容がとても興味深かった。
校長として「学校を民主主義の土台にする」をテーマに、
学校改革に取り組む工藤勇一氏と、哲学者の苫野一徳氏の対談本。
うちは子供がいないから、学校教育とは無縁なので、
今の良い学校はこんな感じなのか!と驚かされる内容だった。
民主主義に対するありがちな勘違い
民主的な社会とは「誰一人置き去りにしない社会」のこと。
対話を通じた合意形成が十分に練られないままに、
多数決でものごとを決めようとしてはいけない。
まずは「みんながOKと言える最上位目標」を決める。
たとえば文化祭なら「生徒全員で観客全員を楽しませる」。
最上位目標は子供ではなく先生が決めてもいい。
あとは子供たちに考えさせて、もし多数決で決めるなら、
A案・B案どちらになっても誰の利益を損ねることがない時のみ。
ルソーも「多数決は民主主義の本質ではない」と述べている。
また民主主義社会では自由が保障されているが、
「他者の自由を侵害しない限り」という条件付きの自由。
多様性ばかりが強調される時代だけど、ここを忘れてはいけない。
OECDラーニング・コンパス2030
OECD(経済協力開発機構)が発表した教育界が目指すべき指針。
「個人及び社会の2030年におけるウェルビーイング」を実現するため、
子どもたちに次の力を身に付けさせることが大事と説く。
- 責任ある行動をとる力
- 対立やジレンマに対処する力
- 新たな価値を想像する力
日本人の忖度好きの源流に国語のテスト?
国語のテストで「このときのAさんの気持ちは?」という問いが多い。
空気を読むことが重視されていて、忖度の仕方を教えているみたい。
子供たちに意識させるべきことは「誰が気分を害するか」ではなく、
「誰の利益を損ねるか」を考えさせることが大切なはず。
意識改革の3つのステップ
- 自己矛盾が起きる(普段はあまり意識しない本質的な問いをきっかけに立ち上がる)
- 優先すべきものを自問自答する(白か黒か、善か悪かの単純な二項対立で考える癖をやめる)
- 矛盾しない自分に変わっていくプロセスを考える
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