今春、國分功一郎「暇と退屈の倫理学」の文庫化を機に再読、
蔵書に加えてまもなく、新潮新書から新刊が出たので手にとった。
読み始めてみると、その内容の半分超は、
おととしジョルジョ・アガンベンについて調べていて出会った、
東大YouTubeの公開講座の模様を収録したものだった。
でも質疑応答の部分は視聴しておらず、
こんなおもしろい話をしていたのか!と教えてくれた。
「生存以外の価値を人々は求めているのか?」という問いに対し、
まず「暇と退屈の倫理学」での回答を紹介する。
「人は自由を求めているようでいて、自由になると暇になり、暇になると退屈するから暇を嫌う、したがって自由を拒否するというこの矛盾した人間的事実がある。」
この時に提示した処方箋は次のようなものだが、
「ここで忘れられているのは楽しむということである。けれども、人間は放っておいても何かを楽しめるわけではない。人間は広い意味での勉強をしなければ楽しめない。勉強をして、つまりは楽しみ方を学んで楽しめるようになることが、この矛盾を乗り越える鍵である。」
最近は「信じる」ことの大切さを考えるようになったという。
ハンナ・アーレント「全体主義の起原」も紹介しながら、
「アーレントは大衆社会における大衆は、何も信じていないから何でも信じてしまうが、騙されたと分かっても「そうだと思っていた」と言ってケロッとしているのだと述べています。・・・そもそも信念がないから騙されても平気なのです。・・・価値を主体が求めるかどうかというよりも、何らかの価値を信じることが必要なのだ。」
人生を楽しむために学ばなければならない。
学びを通じて自分なりの価値観を持つことが大切だ。
というように上記の内容を私は理解した。
これは投資で大切なこととまったく同じだなと。
私が個人投資家として生き残ってこられたのは、
「株式投資を通じて世の中を学んで楽しむ♪」(これを短縮したのがブログ名「投資を楽しむ♪」)
投資をはじめてまもない頃からこんな看板を掲げていたから?
そして、自分なりの価値観を求めて、古典はもちろん、
宇宙物理学や脳科学まで、多分野の本で学ぼうとしたから?
なんて感想を持ったのだった。
今回紹介した本書の内容に連動する、YouTubeの該当部分ここ↓
最後に本書で紹介されていた、マハトマ・ガンジーの言葉。
「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。」
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