好奇心の羽を広げて直感を磨く/羽生善治「直感力」

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羽生善治さんの書籍を再読・編集するのが止まらなくなってしまい。
今回は2012年に出版された「直感力」より。

羽生さんが「直感」をテーマに執筆することになったのは、
おそらく2005年出版の「決断力」での次の一節が注目されたからだろう。

「直感によってパッと一目見て「これが一番いいだろう」と閃いた手のほぼ七割は、正しい選択をしている。将棋では、たくさん手が読めることも大切だが、最初にフォーカスを絞り、「これがよさそうな手だ」と絞り込めることが、最も大事だ。それは直感力であり、勘である。直感力は、それまでにいろいろ経験し、培ってきたことが脳の無意識の領域に詰まっており、それが浮かび上がってくるものだ。」

私自身も「直感の七割は正しい」という言葉に影響を受けて、
当時もてはやされていた「論理的思考」よりも、
最終的に信じられるのは「直感」なのでは?と感じるようになっていた。
2010年にはブログでこんなまとめかたをしている。

羽生さんが「直感力」で語る、直感の効用で一番目をひいたのが、

「絶対の自信はなくとも思い切りよく見切りをつけることができるかどうか。それは、直感を信じる力の強さにも通じているのではないか。直感は何かを導き出すときだけに働くのではない。自分の選択、決断を信じてその他を見ないことにできる、惑わされないという意志。それはまさしく直感のひとつのかたちだろう。」

すべての経験を土壌に、瞬間的に生み出される閃きだけが直感ではなく、
複数の選択肢を前に迷わず決断する時には直感の働きがあると言う。

また本書のテーマである「いかに直感を磨くか?」からいくつか書き出すと、

「直感を磨くということは、日々の生活のうちにさまざまなことを経験しながら、多様な価値観を持ち、幅広い選択を現実的に可能にすることではないかと考えている。」

多様な価値観に触れて、視野を広げることの大切さは、
羽生さんの書籍で必ず登場する一節だ。
だから自分の専門、子どものように好奇心の羽を広げるべき。

「『コツが分からないこと』を、難しいからと投げ出してしまうのではなく、『なぜなのか』と探求していく気持ちが大切なのではないか。子どもは、『理解できないこと』を自分で深掘りしていく達人である。大人になると効率や利得を重視しがちになり、心のひだに引っかかった疑問や困難な道を素通りしてしまう。そうした時こそ、何が自分に有益となるのかなどに囚われた心を耕し、新たに試みを行なっていく必要があるのではないだろうか。」

損得に囚われず、無駄と思われることを取り入れることが大切。
寄り道、回り道にこそ全体の理解に通ずる道がある。

「無駄を排除して高効率を追い求めたとしても、リスクを誘発する可能性がゼロにはならない。むしろ、即効性を求めた手法が知らず知らずのうちに大きなリスクを増幅させているケースもある。」

好奇心を広げ、様々なものを追いかけることは、
変化に対して柔軟に対応する力や心の余裕、
情熱を持ち続けることにもつながってゆく。

「常にこちらが絶対だという、絶対価値みたいなものを結論づける必要はないということだ。ある程度の流動性を保っておくということ。目まぐるしく変わっていく時代の中にあって、その変化を大前提にして、状況に適応しながら考える。予想が外れることを前提にしていれば、対応もしやすいし、気楽ともいえる。それまでの自分のやり方を貫くよりも、その時できることをやる。」

「情熱は、常に何かを探し続けることでも保たれる。今まで自分の中になかった何かを発見するというプロセスを大事にするのだ。・・・心がけるのは、常に違う何かを見つけていくこと。それは現状に不満足でいることではなく、さらに違う何かを常に探し求めていく姿勢だ。その前提として、いろいろな可能性があると信じることが重要だと考えている。」

どのような経験を積むことが、直感を磨くことにつながるのか。
その羅針盤のひとつとして、本書をオススメしたい。

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