日本最古の天文記録はオーロラ/片岡龍峰「日本に現れたオーロラの謎」

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オーロラというと雪に閉ざされた寒い地域のもの、というイメージだが、
古典を読み解くと、日本でもオーロラが観測できていたらしい。

そんなことを去年知ったのだが、

江戸時代に絵に残るオーロラは、夜空にゆらめくものではなく、
赤い柱が立っているような不思議なかたちで描かれている。

1770年9月17日のオーロラ/猿猴庵随観図絵

これはなぜ?という疑問に答えてくれる本に出会った。

「オーロラは磁力線に沿って光るものですが、この当時の京都では辱線が斜め45度に傾いていました。北極や南極に近い地域では磁力線はほとんど90度に立っているので、オーロラの見え方に大きな違いがあるはずです。斜め45度に覆い被さるようにオーロラが光っている。それを下から見るとどういう形になるのか。この計算をした結果、なんと絵図そっくりな扇形が画面に出てきたのです。」

そんなわけで本書の表紙のような見え方が正しいことが分かった。

さらに扇形が正しいとなると、日本最古の天文記録といわれる、
日本書紀」の推古28年(620年)のくだり、

「十二月の庚寅の朔に、天に赤気有り。長さ一丈余なり。形雉尾に似れり。」

長年、彗星とオーロラどっち?と議論されてきたけど、
雉が尾を広げたような赤ならば、オーロラである、と確定したそうな。
古典と天文学の掛け合わせはなかなかおもしろい。

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