偽ブランドは嘘つきのはじまり/池谷裕二「脳はすごふる快楽主義」

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脳科学者の池谷裕二さんが最新の論文を紹介するエッセイ集。
第3巻の「脳はすごふる快楽主義」を読んだ。

このシリーズは実に面白く、前2巻で印象的だった論文もメモを残している。

今回一番興味深かった論文は、
偽ブランド(模造品)を身につけると嘘が増えるという研究結果。

たとえ偽物であったとしても、見た目はソックリなのだから、
着飾って自分の品格を高めたい、といった想いで手を伸ばしたはずが、

「「本当の自分でない」というアバター感覚は、自尊心という認知的ブレーキを外します。「今の私は偽物だから、たとえ嘘をついても、本当の自分の品位は傷つかない」。その結果、モラルに欠けた行動が増えてしまうのです。」

勝手な連想だけど、「偽ブランド」の部分が、
身の丈に合わないプライド」と置き換えられるような気がする。
変にプライドが高い人は、嘘をついたり、保身に走ったりして、
結局、周囲から軽蔑されるという、よくある失敗例。

そういえば「徒然草」にも似たような話がある(第53段)。
おそらく学生の頃、誰もが読んだことのある部分で、


酔っ払った仁和寺のお坊さんが宴会でウケを狙って、
足鼎(3本脚の鉢)を頭にかぶって踊ってみせた。

一同、大爆笑。

でも鼎を抜こうとすると、抜けない…。
鼎を叩き割ることもできず、医者に見せてもどうにもならない。

最後の手段として力いっぱい引っこ抜いたところ、
鼻と耳がもげる大怪我を負いながらも一命を取り留めた。


この「足鼎」はおそらく「身の丈に合わない思想」の象徴。

ブランド、プライド、思想…。
無理に背伸びをしなさんな、ということが実証された。
そんなふうにこの論文を受け止めたのだった。

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