記憶はどこにあるのか?/福岡伸一「動的平衡」

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この世は無常迅速

日本の古典でたびたび語られてきたことだ。

最近、身体の外側だけでなく内側も無常迅速であると知った。

私たち人間は60兆個の細胞で構成されていて、

そのうち数千億個の細胞が1日と生まれ変わるとなると、

細胞レベルでは半年も経てば、まったく別人なのだから。

となると、記憶はどこにあるのか?

脳細胞さえも絶え間のない流転にさらされているのだから、

記憶媒体としての機能を持っていないはずだよね。

記憶はおそらく細胞の外側にある。正確にいえば、細胞と細胞のあいだに。神経の細胞(ニューロン)はシナプスという連携を作って互いに結合している。結合して神経回路を作っている。・・・たとえ、個々の神経細胞の中身のタンパク質分子が、合成と分解を受けてすっかり入れ替わっても、細胞と細胞とが形づくる回路の形は保持される」P36-37

つまり例えるなら夜空の星が細胞で、星座が神経回路。

星座を構成する星が入れ替わったとしても、

星座の「型」はそのまま残り、その「型」に記憶
が宿る。

というのが生物学者、福岡伸一氏の説明。

芸能の分野で古来より使われてきた「守破離」。

既存の型を守り、型を破って外に出て、型を離れて新たな型を生む。

すべては「型」を覚えることから修行がはじまる。

「無常」や「型」に生物学でも出会うとは…

こういう時に学ぶことの楽しさが実感できるんだよね♪

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コメント

  1. まーさん より:

    「記憶は細胞の外側にある」なるほど~。
    仏教では「私とは、私以外のモノとの関係性の中であらしめられている」というようなことが言われていたと思います。
    他者との関係性の中で、刻一刻と流動する自己。その中における自己の「記憶」とは何なのか。
    それから大分前になりますが、「自己と非自己」という免疫学の考え方が注目されたこともありましたよね(柄谷行人さんとか、かなり言ってませんでしたか?)
    そういったことも含めて、「私」って一体何なのでせう?
    で、気になって「松岡正剛の千夜千冊」なんか開いて見てましまいました(笑)
    今夜も眠れなくなりそうです…(爆)
    とりとめのないコメント、失礼しました(汗)

  2. まろ@管理人 より:

    松岡正剛さんのサイト大好きです。というかあの古今東西あらゆるものに精通している感じ…、ブログを続ける上での私の究極目標だったりします。
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