世界経済の政治的トリレンマを描いた、
ダニ・ロドリック「グローバリゼーション・パラドクス」。
原書は2012年に、日本語訳は2013年に出版された。
著者は民主主義とグローバル市場の間の緊張を解決する方法として、
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国際的な取引費用を最小化する代わりに民主主義を制限して、グローバル経済が時々生み出す経済的・社会的な損害には無視を決め込む。(国家主権+グローバル化)
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グローバリゼーションを制限して、民主主義的な正統性の確立を願う。(民主主義+国家主権)
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国家主権を犠牲にしてグローバル民主主義に向かう。(民主主義+グローバル化)
の3つの選択肢があると指摘。
またこれは世界経済の政治的トリレンマの原理を示しており、
民主主義、国家主権、グローバリゼーションのうち、
同時に実現することができるのは2つまで、ということになる。
このトリレンマは、とても分かりやすい世界の捉え方だけど、
2012年当時に著者が有力とした「民主主義+国家主権」はどうなのだろう?
2017年に登場したトランプ大統領がまさにこの路線だったことを考えると…。
やはり今後は「民主主義+グローバル化」が有力なのではと。
ただ「国家主権+グローバル化」の時のような経済最優先ではなく、
国際協調を軸に置き、それぞれの国民との対話の中で、
ある程度の経済的な規制をしながらのグローバル化になるだろう。
それが現れているのがGAFAへの反発といったあたりだろうか。
気候変動をはじめとした社会課題の面からも、経済最優先は限界に来ている。
そうなると資産運用の手段として、株式投資がこれからも有効なのか?
そのあたりの疑問を常に頭に置いておきたいものだ。
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