客観的な統計データを元に、社会的課題への対処法を提示する。
最近この手の良書が増えており、
といったあたりが興味深かった。
今回手に取った本は上記の二冊よりも以前の刊行だが、
格差是正のための処方箋として、主に以下の3点を掲げている。
- ただでお金を配ること(ベーシックインカム)
- 週の労働時間を15時間にすること
- 国境線を解放すること
でも個人的に関心があったのはこのあたり。
「1970年には、ハーバードの男子学生で研究者の道へ進む人は、銀行業界へ進む人の2倍いたのだが、20年後、そのバランスは逆転し、金融業界に就職する人は、研究職に進む人の1.5倍になった。」
「優秀な人材が、富の創造ではなく、富の移動に投資されてきた。何かを生産しなくても富を得ることができ、稼ぎが良いのだから、価値あるものを生み出しているという虚偽意識を導いた。」
「そして結論を言えば、わたしたちはみな貧しくなった。銀行が1ドル儲けるごとに経済の連鎖のどこかで60セントが失われている計算になる。しかし、研究者が1ドル儲けると、5ドルから、往々にしてそれをはるかに上回る額が、経済に還元されるのだ。ハーバード大学流に言えば、高額所得者に高い税金を課せば、「才能ある個人を、負の外部性をもつ職業から、正の外部性をもつ職業に再分配する」のに役立つ。簡単に言えば、税金を高くすれば、有益な仕事をする人が増えるのだ。」
税制による才能の分配についての引用元の論文。
英語の上に数式付きで読む気がしないが一応メモ。
上記の話を私なりにまとめておくと。
富を創造するということは自分なりの付加価値を加えること。
たとえば仕入れたものに、自分の得意とする何かを加えて、
仕入れ値より高い値段で他の誰かに喜んで買ってもらうこと。
だが金融は一般的に富を移動させることの差益で稼いでいるだけだ。
金融が富を創造することができるとしたら、単なる金儲けのためだけではなく、
明確な美学や哲学を持って投融資をしたときに限られるのだろう。
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