昨年から今年にかけて開催された連続シンポジウム「激動する世界と宗教」。
その最終回の模様を収録した「宗教と生命 激動する世界と宗教」の中での、
生命倫理学を専門とする安藤泰至氏の発言に驚いた。
「体外受精の成功率を考えてみてもそうです。実際に元気な赤ん坊が生まれてくる確率は現在でもせいぜい15~20%です。1983年に東北大学の病院で、日本で最初の体外受精がおこなわれましたが、そこから4年間の成功率はたった2.4%、40~50人に1人しか成功しませんでした。その段階で、体外受精の専門病院が東北にできているんです。」
こんなに成功率が低いなんて…、本当なのか?と調べてみると、
日本は実施件数が世界最高だが成功率は世界最低、という衝撃データも。
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成功率低すぎ!日本の不妊治療の残念な実態(東洋経済オンライン)
かなりお金がかかると噂を聞いていたので、
勝手に5割くらいの成功率だと思いこんでいたのだが。
2013年に出生前診断が解禁になったのは、こういう背景もあるのだろう。
こうなるとたしかに安藤氏の指摘するとおり治療と言うより実験に近い。
「治療と称しているけれども、実際にはどんどん試してみて、失敗を重ねていくことで、うまくいかない原因がどこにあるのかを推測し、技術を改良していこうとする実験的技術です。技術の提供者が、とにかく夢だけは追っている。実際には人の欲望をかきたてているだけで、現実に生命の操作ができていたわけではありません。」
でも人体実験は少し言いすぎかもしれない。
技術を進歩させたい研究者と子供が欲しいお金持ちとの間に、
欲望と利害が一致しているのだから、批判するようなものではない。
この先、研究が進んで成功率が高まり、
安価で誰もが受けられる未来のための投資だと考えた方がよさそうだ。
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