起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男

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昨年からリクルートHDへの投資を少しずつ増やしてきたので、
創業者、江副浩正さんがどんな人だったのか知りたくなった。
子供の頃「リクルート事件」のニュースで見たような記憶もある。
そして事件のせいで、会社のウェブサイトには一切情報がない。
だから2021年に出版されていたこの本がとても参考になった。

どの企業にも共通することとして、創業者が創った企業文化は、
時が経過しても風化せず、逆に風化した企業は退場していくように思う

そんな風に考えているので、本書でこれは凄いなと感じたのが、
リクルート事件の捜査で、検察が社員に組織図の提出を求めた際、
うちの会社は組織図も職務権限表も作ったことがないと回答する場面。

「社員皆経営者主義」を説き、アイデアを創出した社員にすべてを任せる。
当時はもちろん、今でも日本企業には珍しい江副の経営スタイル。
創業から20年以上経っても、組織図がないことが象徴していると思う。

また現在の出木場社長が日本の大企業では突出して若い(1975年生)のは、
リクルートの企業文化として定着している証なのかもしれない。

著者が指摘する江副の不運は、ベンチャー企業を育成・支援する仕組みが、
当時の日本には存在していなかったこと。

江副は有能な部下には囲まれていたが、親身になって大所高所からアドバイスし、ときに倫理もとに惇るふるまいを諫めてくれる年長者がいなかった。それはベンチャー企業を囲む日本の社会システムの大きな弱点である。米国には「エンジェル」と呼ばれるベンチャー投資家がいる。・・・・だが日本には、資本主義のルールと社会の厳しさを起業家に体験させる本物のエンジェルがいない。まして、東大を卒業してすぐ起業し、一度も人の下で働いたことのない江副の周りには、世の中のルールを教えてくれる大人がいなかった。江副のまわりにいるのは、巨万の富にあやかろうとする政治家と江副を褒めそやす人ばかりだった。

リクルート事件から約30年を経て、この環境が整ったかというと…。
早逝した瀧本哲史さんに続く方は今、どなたなのだろう?

最後に過去の決算書が手に入らないのでモヤモヤした話。

リクルートはバブル期に不動産事業に手を広げたため、
バブル崩壊で関連会社2社の負債は1兆8,000億円にも及んだ。
そして本書に記される当時のリクルート本体の業績は(1991年3月期)、

  • 売上高3,697億円
  • 税引後利益234億円

1992年から再建計画がスタートし、2006年3月期に借金返済が完了。

1991年の業績水準では、とても十数年で返済できない金額だが、
この間のリクルートについての記述がほとんどないのが残念。
ちなみに著者がこの金額を示して訴えたかったのは、
バブル期の不良債権処理を税金に頼った金融機関との対比。

リクルート事件を引き起こした江副浩正は日本の経済史に「巨悪」と刻まれたが、自分たちの英達と保身のためにバブルを膨らませ、国民に10兆円を超える負担を強いた大銀行の幹部や行政の責任が問われることはなかった。「信用できるのは大銀行や中央官僚で、起業家やベンチャーはいかがわしい」この価値観もまた、バブル崩壊から30年経っても日本経済が停滞から抜け出せない根本的な原因なのかもしれない。

このあたりの認識はすでに変わっていると思うが、
私が投資家だからそう考えるだけなのだろうか?

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