京都の老舗料理屋、菊乃井の村田吉弘さん。
家で料理をする際に欠かせないレシピ本で日々お世話になり、
また経営に関する発言も多く、興味深く拝読している。
- 菊乃井の村田吉弘さんが語る料理屋の経営学(20/08/11)
昨年9月に新刊本では、
昨今のグルメブームの風潮を厳しく批判している。
料理屋は「公共」であるべき
料亭や料理屋は大衆に支持されてこそ存続する公共の施設。
極端に高額で富裕層しか行けない店がもてはやされることは、
公共の崩壊であり、料理屋があるべき文化的役割を損ねている。
和食文化が一般大衆から乖離し、将来的に消滅しかねない。
文化ではなく価格を消費する風潮への警鐘
一部の客層は「文化を味わう」のではなく、
単に「値段が高い」というステータスを食べる「輩」だ。
そんな輩の好みに合わせて、席数を減らし予約困難を演出、
輩が群がるような経営は、料理屋のあるべき姿ではない。
最後に京都に訪れた2018年。
京都の日本料理は東京より割高だなと実感し、
またその後は外国人観光客の嵐もあり、足が遠のいた。
あの当時すでにこの傾向を問題視していた書籍もあり、
- 食が情報として消費される世の中への嘆き/柏井壽「グルメぎらい」(18/07/08)
それがコロナ後に東京にも広がってきたのかな。
もちろんそれまで不当に安かった料理人の報酬の見直しや、
物価の高騰に合わせて、正当な値上げをする店も多いが、
それを隠れ蓑に変に高額な店が急増した実感がある。
村田さんも指摘しているけど、30代前半の若い料理人が、
新規開店時から1人25,000円みたいなのは私もダメだと思う。
同世代のお客さんが手の届かない価格にしてしまったら、
次第に顧客が高齢化していき、20年後は誰もいなくなるのでは?
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