毎年年末に経済書の良書がランキング化されるが、
これは必ず上位にランクするであろう一冊。
日本経済が長期停滞を脱するために労働生産性の向上を!
こく説明がされることが多々あるが、間違えであるとバッサリ。
- 1998~2023年の間、日本の生産性は3割上昇したが、実質賃金は横ばい。(同期間、アメリカは生産性が5割上昇し、実質賃金は3割上昇)
- 日本は生産性が低いというのは嘘。同じ期間でドイツ(25%上昇)、フランス(20%上昇)を上回っている。
- 収奪的な社会制度のもとでは国家は衰退し、包摂的な社会制度でなければ反映できない(アセモグル&ロビンソン「国家はなぜ衰退するのか」)
- 日本社会はバブル崩壊後、長期雇用制を維持するため、正社員の実質賃金を抑え込むとともに、非正規雇用制を生み出した。
- メインバンク制の崩壊に伴い、企業は自ら溜め込むようになり、賃金の引き上げには消極的。日本企業の業績は向上し、2012年以降は株高傾向だが、好循環の中に家計が組み込まれていない。
- 経済成長を促すメカニズムはまだ分かっていない。とくに先進国では、どうすれば上向くのかはっきりいって謎。(アビジット・バナジー)
- 収奪的な賃金システムの日本では、効果の定かではない成長戦略より、所得の再分配やセーフティネットの改善を優先すべき。これなしに日本経済の長期停滞は終わらない。
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