プラネタリー・バウンダリーとは?/ヨハン・ロックストローム「小さな地球の大きな世界」

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先日、地球環境研究の国際プラットフォーム「Future Earth」の
谷淳也さんにお目にかかり、ご紹介いただいた一冊。

日本のプライベートバンク事業請負人という印象だった方が、
新たな肩書きで目の前に登場して結構おどろいた。

もしかすると富裕層は資産の継承という文脈で、
地球の持続可能性にも関心があって、
そんな顧客の影響を受けての転身だったりするかな?

それはさておき学んだことをメモ。

プラネタリー・バウンダリーとは?

プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)。

地球の安定性を維持する最重要な以下9つのポイントを特定し、
人類が地球で安全に活動できるレベルを科学的に定量化したもの。

  • 気候変動
  • 成層圏オゾン層の破壊
  • 海洋酸性化
  • 窒素・リンによる汚染
  • 生物多様性の損失
  • 炭水の消費
  • 土地利用の変化
  • 化学物質汚染
  • 大気汚染またはエアロゾル負荷

そしてこれらの限界値を超えて回復力を失うと、
人類の力ではどうにもできない局面に突入する恐れもある。

環境負荷を削減した農業革命が必要

環境問題の話って小中学生の頃はちゃんと教育されるけど、
その後の知識の更新は能動的にやらないとどんどん古くなる。

私が子供の頃の約30年前は「工業」由来の

  • オゾン層の破壊(南極上空のオゾンホール)
  • 酸性雨

が環境問題の2大テーマだったように記憶している。

しかしプラネタリー・バウンダリーに基づくと、
実は「農業」による環境負荷が巨大なのだという。

「今日の農業は,生物多様性の損失と温室効果ガスの最大の原因の一つとなっている。ちなみに、世界の温室効果ガス排出量の約30パーセントは農業生産に由来する。その内訳は、おおむね土地の耕作で半分、森林破壊で残りの半分となっている。農業は、陸地のほぼ40パーセントを使用する世界最大の土地利用形態であり、河川からの淡水の約70パーセントを灌漑のために利用する最大の淡水利用形態でもある。さらに農業は、窒素とリンを水域に排出することで、富栄養化の主な原因ともなっている。」

石油以上に深刻なリンの枯渇

また農業に絡んで「リン」の枯渇についても今回初めて知った。

現代の農業はリン鉱石から作られるリン酸肥料に依存しているが、
これから50~100年の間にリンの埋蔵量が枯渇する可能性がある。

しかも使用後のリンのほとんどが、淡水や沿岸海域の底の沈殿物となり、
生態系に与える上に、リサイクルするにはコストが高く困難な状況。
リンを多く含む人の排泄物から、肥料としてリサイクルする必要がある。

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