探究人がAI時代に生き残る?/今井むつみ「学びとは何か」

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副題の「探究人になるために」に目を引かれて手に取ると、
なんと尊敬する羽生善治さんが前文を寄せている本だった。

岩波新書から2016年に出版された本に今ごろ気が付いた。

赤ん坊の頃からどのように言語を習得し、語彙を広げていくのか。
その方法から、学びの達人である探究人への道を説いた一冊。

私たちは天才とは生まれながらの天賦の才能を持ち、
努力せずに創造性を持てる人のこと、とイメージしがちだ。
しかし創造性とは、状況に合わせて問題解決できる能力であり、
それは生まれつきの才能によって得られるものではない。
以下を身につけた探究人こそが天才である、と著者は説く。

  • 長年の努力と研鑽の結果である広く深い知識
  • そこから生まれる直観
  • その分野で広く信じられていた常識にも、自分の直観にも支配されない思考の柔軟性
  • 直観を修正し、データに基づいて論理を積み重ねて熟慮する批判的思考力
  • 何年にもわたってコツコツと続ける粘り強さ

つい最近、ChatGPTからリリースされた“Deep Research”。
あれを実際に使った方の記事や動画を見て思ったのが、
かつての羽生善治さんが語った「学習の高速道路」の完全版だなと。
単に知識を得るための情報収集や分析については、
高速道路どころかテレポーテーションレベルまで来た印象。

だから知識を得るための調査能力みたいなのは、もういらなそう。
本書の内容を踏まえ、私たちに必要な能力を改めて考えると、

  • どの方向に進むか「問い」や「仮説」を立てる。そのための原動力となる「好奇心」。
  • 同じ情熱、気力、モチベーションをもって臨むことができる「継続性」。それによって「直観」を育むこと。
  • 知識や経験からくる思い込み(直観の間違えや時代遅れ)を修正することができる「柔軟性」。

このあたりは時代が変わっても残っていきそうな気がする。

学びとは何か――〈探究人〉になるために (岩波新書)
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