「マネーと常識」に続く、バンガード創業者・ボーグル氏の新刊。
原題は"Enough. True Measures of Money Bussiness, and Life"
だから、翻訳の副題「マネー、ビジネス、人生の『足る』を知る」が、
この本の内容を反映したものだ。個人的にはボーグルの著書で一番好き。
「足るを知る」をテーマの中心にそえて、
古代から現代までの数多くの名言・名文を引用しながら、
マネー、ビジネス、人生について語る、これぞ賢人!と言える素晴らしい内容。
最近、大学でファイナンスの授業を受けてみて、なんか変だぞ?と感じている、
現在の経済・金融は数学の力が強くなりすぎてバランスが壊れている予感…。
ボーグル氏の意見も似ているようで、
「ビジネスの世界では、計算できるものを重視するあまり、信頼し、信頼されるということを大切にしなくなった」(P25)
「現代では社会でも、経済学や金融業界でも、あまりに数字を信頼しすぎている。…私たちは過去の経済統計や市場データに頼りすぎているし、物事を楽観視する傾向があるためにデータに間違った解釈を与え、信じるに値しないデータに信憑性を与えてしまう。」(P80)
ここ2,30年の間、コンピューターの処理能力が飛躍的に上昇するにつれて、
とんでもない数式でも簡単に答えが出せるようになってしまった。
だが、これによって、個人投資家にもたらされたものは…
金融機関からお金を奪われる手段として使われただけのような気もする。
最先端の難しい数式使ってリスク管理してやってるんだから、
高い手数料をよこせ、てな目的に利用されただけじゃないか。
経済・金融の分野に限っていえば、本当に役にたつ数学って、
電卓を使って手で計算できる程度の…、いやそれは極端だから、
Excelで関数を使わないで計算できる程度のものなんじゃないかな?
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波瀾の時代の幸福論 マネー、ビジネス、人生の「足る」を知る ジョン C ボーグル 商品詳細を見る |
コメント
ボーグル氏の本ってまだ読んだことがないんですが、これは面白そうな内容ですね。
「インデックス・ファンドの時代」や「マネーと常識」よりこちらを先に読むと言うのもアリですよね?
ぜんぜんアリですよ。
今、ボーグル氏の翻訳本は4冊出版されていて、大きく二つに分けられます。
純粋に資産運用について語ったのが、
「インデックスファンドの時代」と「マネーと常識」の2冊。
後者の方が初心者向けに書かれています。
もう一つが広く社会・経済の問題認識を語ったのが、
「米国はどこで道を誤ったか」と「波乱の時代の幸福論」の2冊。
私のお薦めはどっちかというとこっちのくくりの方。
「波乱の時代の幸福論」はマネー、ビジネス、人生の三部構成になっているので、ビジネスの章に興味があれば、「米国はどこで道を誤ったか」も読んでみる、という感じでいいと思いますよ。