目の見えない人は世界をどう見ているのか?

思えば特に精神面で30代の人生が充実しているのは、
30歳になってすぐの2008年に出会えた

の2冊の本がすべてのはじまりだったと言える。

そんな坂本先生のお話を鎌倉投信の年次総会で初めて拝聴。
著書の内容から勝手に温和な人柄を想像していたけど、
その真逆のトゲトゲしさが実に痛快だった。

また先生が障害者雇用に特別な関心を寄せていることがよく分かった。
だから1冊目の一番最初に紹介されて日本理化学工業だったわけだ。

ちょうど横浜への行き帰りで読んでいたのが、
伊藤亜沙「目の見えない人は世界をどう見ているのか」

私たちが得る情報の8~9割は視覚に由来すると言われており、
視覚に頼っているからこそ死角が生じたり、情報に振り回されたりする。

たとえば百貨店やコンビニでは売上を最大化するための
人の行動をいざなう「道」が随所に仕掛けられており、
視覚的な刺激によって生まれる欲望が資本主義の原動力とも言える。

だが見えない人は都市に渦巻く誘惑・欲望とは無縁。
中途失明の方が失明した当初は情報への飢餓感にさいなまれたが、
意識に昇ってこない情報を追わない人生の良さを悟る過程が興味深い。

また視覚は思考方法にも影響を与えるようだ。
生まれつき立体視ができなかった学者が訓練によって48歳で能力を獲得。

彼女によれば初めての部屋に入って空間の全体をぱっと把握できるようになったように、たとえば論文を読むときにも、全体を一気に把握することができるようになったそうです。それまでの彼女の情報処理の仕方は、「部分の積み重ねの結果、全体を獲得する」というものだった。ところが立体視ができるようになったことで、「まず全体を把握して、全体との関係で細部を検討する」という思考法ができるようになったのです。」P64

視覚を失ったとしても、人それぞれの方法で世界を「見て」おり、
目が見える人と脳の働きや世界の捉え方が違う、ということか。

障害者を特殊能力の持ち主とするのは間違えだが、
他者との違いを生み出すことが企業の利益の源泉と捉えるのなら、
障害車雇用率が法定以下の企業は知恵不足と言えるのかもしれない。