毎年7月下旬にJリーグ全クラブの前年度決算が公表される。
イニエスタが退団したヴィッセル神戸の決算推移を見ていて、
神戸での引退を望んでいたイニエスタが退団に至ったのは、
やはり楽天モバイルの絶不調が関係しているんだなと。
まず注目は「トップチーム人件費」。
イニエスタは約32億円の年俸で2018年7月に加入。
2018年12月決算には月割りで、2019年12月決算は全額が計上。
そして2021年5月の契約更新で年俸は約20億円に減額。
イニエスタ1人の年俸推移だけで、人件費の増減が説明できそう。
ではこの巨額の支出をどうカバーしていたかというと、
「スポンサー収入」と「特別利益」に計上されている金額。
神戸新聞の報道(2021年5月)によると、
Jリーグが開示した2020年度経営情報で、J1神戸は営業収益が47億1400万円となり、リーグ史上最高だった19年度の114億4千万円から6割近く落ち込んだ。イニエスタの年俸約30億円を含め、約64億円と突出したチーム人件費の負担は大きく、営業損失が51億円あまりに膨らんだが、52億5千万円と巨額の特別利益を計上。当期純利益は4100万円の黒字を確保した。特別利益のほとんどは親会社楽天グループからの支援という。
収入面では、新型コロナウイルス禍の入場制限が響き、入場料収入は4億2200万円と、12億6千万円だった前年度の3分の1にとどまった。近年の営業利益を押し上げていたスポンサー収入も、楽天グループの関連企業からの広告収入が多くを占めていたといい、あらためて依存度の高さが浮き彫りになった。
とくに2020年12月期以降はCOIVD-19の襲来もあり、
楽天からの支援がなければ当期純損失だった。
そして現在は楽天本体も経営状態がかなり悪化しており、
同じようにヴィッセル神戸を支援していくのは困難だろう。
さらに現在は特例措置で適用が見送られているが、
2014年度決算より債務超過または3期連続で最終赤字の場合は、
クラブライセンスが剥奪される規則が設けられている。
今後のことを考えるとイニエスタの年俸を維持するのは難しく、
同レベルのスター選手の獲得も控えなければならない。
最近はサウジアラビアが国のイメージを向上を目指しているのか、
第一線で活躍できるスター選手をヨーロッパからかき集めている。
加えて円安が痛い。イニエスタが神戸に移籍したときは1ドル110円。
スター選手が数多くJリーグに在籍した頃は1ドル100円超の円高だった。
残念ながら「この選手がJリーグに!?」という驚きはしばらくおあずけだ。
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