ドーパミンと起業家精神/リーバーマン&ロング「もっと!」

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ドーパミンに関する最新脳科学を紹介した一冊、
ダニエル・リーバーマンマイケル・ロングの「もっと!を読んでいて、
起業家精神で日本がアメリカに適わない理由がよく分かった。
そもそも遺伝子に端を発する違いなのでは?と感じさせられる記述があった。

ポイントは「ドーパミンD4受容体(DRD4)」の産出を指示する遺伝子。
このうち「DRD4-7R」の傾向は、

  • ドーパミンの活動量が多く、リスクをいとわない
  • 退屈に対する耐性が低く、常に新しい体験を追い求める

世界で5人に1人が持っているが、その割合は地域によって異なる。
人類発祥の地アフリカから遠くまで移動した集団は割合が大きい。

また現代の移住には「DRD4-7R」が関連していないはずだが、
移民の国、アメリカではドーパミン活性と関連性の高い精神疾患である、
双極性障害(躁うつ病)の患者が世界で最も多い。

  • アメリカの有病率は人口の4.4%で世界最高(日本は0.7%)
  • アメリカでは患者の約3分の2が20歳までに発症。(欧州では4分の1)

ただし双極性障害には光と闇がある。その症状は大きく4つに分けられ、

  • 双極Ⅰ型障害…典型的な躁うつ病。重度の躁状態とうつ状態を繰り返す。
  • 双極Ⅱ型障害…うつ状態は重度だが躁は比較的軽度。
  • 気分循環症(サイクロサイミア)…軽いうつと躁の循環が特徴。
  • 発揚気質(ハイパーサイミック)…うつ状態のない軽い躁が続く「活動過多」な性格。

発揚気質は異常な症状を体験することなく、
モチベーションの高さ、創造性、リスクを冒して大胆な行動がとれる等々、
平均以上のドーパミン活性レベルを反映した利点を享受できる。

これが起業家精神と関係しているのではないか?

そういえばエレーヌ・フォックス「脳科学は人格を変えられるか?」にはこんな記述も。

「セロトニン運搬遺伝子の発現量が低いSS型の人は、リスクに手を出す率がほかの人々より28パーセントも低いという結果が出た。セロトニン運搬遺伝子の短い型は、リスク回避の役割を果たしているらしい。いっぽう、脳内のドーパミン分泌にかかわるドーパミン受容体D4遺伝子が長いタイプ(七反復以上)の人は対照群と比べて、リスクを冒してでも儲けを増やそうとする率が25パーセント高かった。」

まだハッキリと国民性と遺伝子との関連あり、とまでは言えないようだ。
しかし海外と比べて日本はここがダメ、というありがちな議論は、
自虐したところでどうにもならない話であることが立証される日は近そうだ。

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