昨年は石弘之さんの「感染症の世界史」がとても勉強になったが、
またまた興味深い一冊を出版されていた。
砂なんて砂漠に行けばいくらでもあるじゃないか、というのは思い違い。
建造物に使われるコンクリートに必要な砂は、砂漠の砂では強度不足。
砂漠の砂は細かすぎる上に角がないので、砂同士が絡み合わないし、
海砂と同様に塩分含有量が高くて、コンクリートには不適合なのだ。
つまり川砂が必要なのだが…
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世界で毎年470億~590億トンの砂が採掘され、このうち7割が建設用のコンクリートに混ぜる骨材に使われている。
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この採掘量は世界の川が1年間に運ぶ土砂の量の約2倍に相当する。
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世界の都市化に伴い、セメント生産量は年間40億トンで1990年以降4倍に増加。(コンクリートはセメント1に対して砂などの骨材が7の割合)
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合法的に取引されているのは150億トンほどに過ぎず、残りは砂マフィアが暗躍。闇市場は年間1,000億ドル規模と推定されている。
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砂取引の闇市場に切り込もうとして命を落とすジャーナリスト、NGO関係者は数知れず。
とここまで紹介すると、かなりヤバイことがよく分かるだろう。
このほかにも砂にまつわる次のような事例も紹介され、
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ツバル水没の原因は温暖化による海面上昇ではなく海砂を採取しすぎ?
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他国の砂を使った埋め立てで領土を広げるシンガポールへの周辺国からの反感
資源問題に興味のある方はぜひとも読むべき一冊だ。
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