女子高生を中心に形づくられた「盛り」には、
日本の伝統的な美意識が根付いていると指摘した一冊が興味深い。
部外者には服装や化粧など見た目がまるで同じの量産型少女が、
渋谷の街を闊歩していた奇妙な時代があった。
でもそれは「守破離」の美意識が働いているからだと著者は指摘する。
- 一から自由にビジュアルを作ることなく、まずはコミュニティで共有する方を「守」る
- 細部で「破」って新しい要素を取り入れていき、
- それが多くの人に真似されると、そこから「離」れて新しい型ができていった。
具体的な「型」の代表例は「ルーズソックス」だ。
またその後の「デカ目」盛りのプリクラや自撮りは、
外部のコミュニティからは個性を隠す意味合いを含み、
- 巫女…不特定多数の男性に見られる異常な存在であり「神の妻」の性格を持った、厚化粧をして個性を隠した
- 遊女…肌を白塗りして眉を描く等の過度な装いをすることで個性を隠し、ありんす言葉に統一して訛りを隠した
に通ずるのではないかと指摘している。
伝統に根ざしたものなのか、はたまた後付け解釈なのか。
私たちの日本が曲がりなりにも豊かな国なのはなぜか?
と考えると単なる後付け解釈とも言えないように思う。
肥沃な土壌から美味しい作物が収穫できるのと同じように、
極東の島国ゆえの異国文化への強い欲望と伝統的に高い美意識、
これを土壌に生み出した事業で外貨を稼いだとも考えられる。
ちひさきものはみなうつくし
清少納言が美的感覚を一言でまとめたように、
- 中国から伝来した「うちわ」を「扇子」に革新
- わずかな文字数に世界観を凝縮した「和歌」や「俳句」
- 「仏壇」は「寺院」を縮小した浄土へのどこでもドア
- 景観美を手のひらサイズにした「箱庭」や「盆栽」
といったコンパクト化へのこだわりが、
日本が20世紀の技術小型化の波に乗った背景にあった。
かつて世界を席巻したウォークマンが良い例だ。
日本の伝統的な美意識に根ざしたもので、世界の潮流に乗れるものは何か?
日本株の長期投資にはこういう視点が必要なはず、と考えてはいるが…
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