トム・ニコルズ「専門知は、もういらないのか」を読んでいて、
「実際、インターネットヘのアクセスによって、人々はまったく何も調べなかったときよりも愚かになっているのかもしれない。」
に続いて紹介されていた二つの論文にドキッとさせられる。
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Searching for Explanations: How the Internet Inflates Estimates of Internal Knowledge
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The Google generation: The information behaviour of the researcher of the future
前者はマウスをクリックしながら見たものの大部分を憶えていないことを、
後者はネットで検索した記事を最初の何行かを読むだけであることを、
それぞれ指摘した論文となっている。
ネット検索をした結果、何かを学んだかのような錯覚に陥り、
目の前をよぎったものと、実際に知っているものとの区別が付かなくなる。
なんとなく分かってはいたけれど、こんな研究論文があるのねと…。
インターネットが登場した当初、2000年代前半の頃は、
多種多様な情報や価値観に触れられるようになり、
「知の解放」への期待感にあふれていたのを思い出す。
私たちの情報収集が受動的なものではなく能動的に変わり、
当初の悩みといえば、あらゆる分野で「学習の高速道路」が整備され、
高速道路を駆け抜けた先の大渋滞をどう抜け出すのか?だった。
でもいつの間にか対峙すべき悩みのレベルが急低下していってしまい、
1973年に亡くなったピカソが遺した言葉の時点に戻ってしまったのだろうか。
Computer is useless. It only gives answer.
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