浜辺真紀子「株主との対話ガイドブック」

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2000年から約20年間、ヤフーのIRを担当されていた、
浜辺真紀子さんから新刊本をいただいた。

先日、rennyさんとのポットキャスト収録の中で、
経産省発表の「グローバルニッチトップ企業100選」の上場企業に、
PBR1倍割れが20社近くもあるよ、と紹介した。
事業が分かりにくい企業も多く、IRに問題があるんだろうなぁと。
人的資本の開示の話もあり、今年はIR関連が注目を集めそう。

著者によると、株式市場との対話を改善することによって、
実際に下記のような効果が得られた例があるという。

  1. 外国人投資家比率の向上
  2. 国内外の中長期視点の機関投資家による大量保有報告書提出
  3. 空売り残高の半分以下への減少
  4. ESGスコアUPとインデックスへの組入れ

なるほどそういうこともあるのか!と気付いたのが3番目の空売り。

本書の中で「経営者がIRとPRを混同している」例が指摘されており、
たしかに良い面ばかりアピールして、業界内での自社の強みや、
今後の課題とその解決策を語らない、なんとなく信用ができない。
そういう会社には長期投資家が投資しないのはもちろん、
短期的な下落を狙った空売りも増えるということか。

個人的に一番興味深かったのが第7章の「社内IRをやってみる」。

一般的に上場企業に働いていることに誇りを持っていたり、
子供が上場企業に就職すると喜んだりするのに、
株式投資はギャンブルであり、「株に手を出す」というような表現をする。

著者はこんな状況を変えるために、「社内IR講座」を上場企業で実施。
株式市場の基礎知識から、上場のメリット・デメリット、株主との関係など、
社員に学んでもらうための教え方が丁寧に紹介されている。

この内容は株式投資の基礎講座への応用可能。
最近はコスパやタイパなどと、すぐに投資法の話に入ってしまう例が多く、
資産は多少は増えるけど、人生全体で見ると大損だよ、とあきれている。

上場企業に勤めていれば、まともな投資教育を受ける機会があるとなると、
そんなところで格差を付けられてしまうのか? これは一大事!
自分が目の届く範囲の人だけでも、この本を参考にして、
投資の知識を伝えていかないといけないな、と感じさせられるのだった。

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