約10年前に「村上ファンド」と称され世間を賑わした村上世彰氏。
当時は「物言う株主」として経営者から煙たがられ、悪いイメージをつけられた。
しかしここ数年で、
- 投資家に企業との建設的な対話を促す「スチュワードシップ・コード」
- ESG投資では「G(ガバナンス)」の土台があってこその「E(環境)」「S(社会)」
というのが当たり前のことになってきている。
ゆえに再評価されてしかるべき時期が来たということなのか、
最近その名前をふたたび目にする機会が増えたように思う。
村上氏は現在、子供向けの投資教育に力を入れ、国内を渡り歩いており、
その内容を本にまとめたのが、
昨年のベストセラー「生涯投資家」は読んでいないが、
この本はおもしろそうなので、すぐに購入して読んだ。
最も印象的だった一節は、
「僕が「小さい頃に投資の経験をしてほしい」と考えるのは、社会に出てから、自分の生活費の一部をいきなり投資に回すというのは、とてもハードルが高いことだからです。それよりも、生活費の心配をしなくていい間に、失敗しても困らないお金を使って、ゆとりを持って楽しく投資に挑戦してみてもらいたい。投資をはじめる前に、十分に「お金」の勉強ができている必要はありません。なぜなら、実際の「投資」を通じてたくさんのことを学ぶことができるから。」
私が投資をはじめたきっかけは、21歳の時に母が、
「あなたの世代は年金がないからこれで投資の勉強をしなさい」と、
へそくり100万円をくれたこと。
これが後の人生を決定づける出来事となった。※詳細はこちら
社会に出る前だったし、自分のお金ではなかったから、
ITバブル崩壊に巻き込まれても、とくに深刻に受け止めることなく、
投資を起点とした知の探求をひたすら楽しむことができたのだ。
またその過程で気がついた、子供の頃の勉強の大切さ。
村上氏も本の中で訴えている。
「人生の途中で急に方向転換したくなるかもしれないし、方向転換をしなくったって、広くいろいろな知識を持っていることは、人生において決して無駄にはならない。」
「あんなに幅広く、いろいろなことを学ぶことのできる機会なんて、子どものうちしかないのです。あとになって振り返れば、そこには生きるうえでのたくさんのヒントや学びがあったことがわかると思います。」
分からないものに出会ったら、中学・高校まで戻ればなんとかなる。
世の中の出版物の中で、社会や理科の図録ほどお買い得なものはない。
学校の勉強の大切さを気がつけたのは、お金と真剣に向き合ったからかも。
投資教育に否定的な意見が多いような気もするが、
若いうちに投資に目を向けさせてくれる大人が身近にいれば、
その子の人生の選択肢が大きく広がるのではないだろうか?
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