サッカーを見始めたのがJリーグ開幕直前の1992年頃なので、
私にとっての羽中田さんはサッカー解説者というイメージ。
もう10年くらい古いサッカーファンの間では、
韮崎高校の伝説のドリブラーであり、その後の不慮の事故で記憶に残る。
そんな羽中田さんの半生を描いたのが、
将来を嘱望された高校時代は腎臓病と闘いながらピッチに立ち、
高校卒業後は事故で半身不随となり車イス生活へ。
サッカーへの情熱を捨てきれずに指導者を目指してバルセロナへ渡航。
車イスゆえにコーチングスクール入学を拒否されながらも、食らいついて学ぶ。
帰国後はサッカー解説者のかたわら指導者としてのライセンスを取得。
約10年前からJリーグを目指す地方クラブで監督を務めており、
現在は関東1部リーグの東京23FCの監督としてJFLへの昇格を目指している。
「必ず、愛は勝つ!」というタイトルは、
もちろん羽中田さん自身のサッカーへの愛にちなんだものだろうが、
ときおり本文に織り込まれる妻まゆみさんのエピソードにこそ愛がある。
本書の魅力は事故前の高校時代の交際に始まる夫婦二人三脚の物語にある。
最後に今回初めてその存在を知った東京23FC。
東京23区をホームとしてJリーグ加盟を目指しているクラブだと言う。
新国立競技場がオリンピック後に球技専用スタジアムに決まったことで、
大田区生まれ、世田谷区在住の私としては応援したいサッカークラブだ。
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