次世代のリーダー育成のための「場」を提供する、
東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム。
講師を務める東大教授6名へのインタビュー集が、
最先端で活躍する研究者の思考法を探究する1冊だが、
不思議と話が共通している部分がある気がする。
「Kavli IPMUには現在、数学者、物理学者、天文学者あわせて九〇人の研究者がいます。このように異分野の人が一ヶ所にまとまって一緒に研究している施設は世界でも例はありません。」(村山斉)
「私は、一九九八年の新大学院「新領域創成科学研究科」の設置に携わり、先端生命科学専攻に着任しました。そこは工学・理学・薬学・医学の先生方と一緒の学術領域のルツボで、理念的な世界で研究することができたんですね。・・・我々は、稲、麦、大豆と植物にとどまらず、微生物、昆虫とさまざまな生物を俯瞰的に見て、そこに現れる多様な事象から普遍性を見出していこうと考えている。」(難波成任)
「学問の分野は一般に、細分化が極まって制度化されて単調になってきており、これまで分かれていたものをもう一度、相互の連鎖を見て再構成しないといけない、という機運が出てきた気はするんですね。」(池内恵)
今日、社会の中で一定の役割を果たし、収入を得るには、
何らかの専門家として成熟することを求められている。
でも、本書で語られる知の最先端の領域では、
専門性を越境し、再編集できる力が求められているのだ。
かつてスティーブ・ジョブズは「iPad」発表の際に、
テクノロジーとリベラルアーツ(教養)の交差点
に立つことへのこだわりがアイデアの源泉であると語った。
“We’ve always tried to be at the intersection of technology and liberal arts - we want to make the best tech, but have them be intuitive. It’s the combination of these two things that have let us make the iPad.”
おそらく時代を切り拓くようなアイデアは、
自らの専門性が幅広い教養に交わったときに生まれるのだ。
こんな天才たちと私は違うから…と目を背け、
目の前の仕事に打ち込んでばかりではいけない。
異分野への好奇心を失わないことが思考力を鍛える方法。
上記の話はそう捉えることができるんじゃないかな。
コメント