著者は複雑系社会学の第一人者。(スモールワールド理論で有名)
社会で起きる出来事は、すべて後付けでしか説明することができず、
過去と未来をつなぐものは「偶然」であることを解き明かす。
ちなみに原題は、
“Everything is Obvious* Once You Know the Answer”
(すべて分かりきったこと-あらかじめ答えを知っているのなら)
私が時間とお金を無駄にして体験した内容が凝縮された1冊。
リーマン・ブラザーズ破綻の日、これはおもしろい世の中が来たぞ、
経済・経営の分野で社会に役立つ研究を残すことに余生を捧げよう。
そう決心して大学院へ進んだものの「未来学は存在しなかった」と絶望。
6年間も続けた投資の話も書くのがバカバカしくなってしまった。
「どの時点も物語のほんとうの『終わり』ではない。その後も必ず何かが起こるのであって、その後に起こったことは現在の結果に対するわれわれの認識だけでなく、すでに説明した結果に対する認識までも変えやすい。」P146
世界の終わりが見えない以上、進行中の歴史を語ることはできない。
そしてこれから起こることによって、歴史の評価は編集し直される。
歴史に基づく推論は、世界を意味づけすることに力を発揮するが、
世界を正しく理解することはできず、また未来を予測する力もないのだ。
しかし著者は私のようにあきらめず、最終章で今後の展望を述べる。
社会科学を本当の「科学」にするために足りなかったのは測定要素。
「社会科学の歴史の大半にわたって、社会現象の要素を測定するのは不可能であり、物理現象や生物現象の要素を測定するのとはわけがちがった」P279
人のつながりについては、TwitterやFacebookの登場でもしかすると…
そして最後にこう宣言する。
「さあ、革命をはじめるとしよう…」
コメント