竹下大学「日本の品種はすごい」を読んで、
国産のじゃがいもが絶え間なく戦っていることを知った。
米国産との戦い、国内の品種同士の戦い、寄生虫との戦い。。。
米国産じゃがいもとの戦い
日本では植物防疫法により、生のジャガイモが輸入されて店頭に並ぶことはない。
よって米国産はポテトチップスやフライドポテトの原料として冷凍輸入される。
ポテトチップスの戦い
国産と米国産の最初の戦いは1970年代にポテトチップスの原料を巡って勃発。
米国産に対抗するため、1976年に登場した品種が「トヨシロ」。
自動皮むき気で扱いやすいように芽を浅く、揚げた際に焦げにくい品種。
トヨシロによって米国産じゃがいもとの戦いに勝った。
またカルビーがトヨシロを採用したことも勝敗に影響した。
2018年度の国産じゃがいもの出荷量は約190万トン。
そのうちカルビーの使用量は約27万トンなのだから影響力がよく分かる。
フライドポテトの戦い
ポテトチップスの戦いには勝利した国産じゃがいもだが、
1980年代にマクドナルドの出店拡大により勃発した、
フライドポテトの戦いには敗れる。
日本は「ホッカイコガネ」を育成・対抗したが、
プラザ合意後の急激な円高で、輸入原料に価格で対抗できず敗北した。
寄生虫との戦いで崖っぷちに追い込まれる
コロッケ用、ポテトサラダ用では「男爵薯」が独占状態だったが、
コロッケでは「キタアカリ」「きたかむい」が、
ポテトサラダでは「さやか」が、その座を脅かしはじめている。
国内の定番品種と新品種の世代間競争が起きた背景には、
ジャガイモシストセンチュウという寄生虫問題に由来する。
じゃがいもの根に寄生して、一度発生すると根絶は極めて困難。
1972年に北海道で最初の発生が確認され、汚染地域は徐々に拡大。
生産量上位5品種はシストセンチュウへの抵抗性を持たない。
- コナフブキ
- 男爵薯
- トヨシロ
- メークイン
- ニシユタカ
そこで開発された抵抗性品種が「キタアカリ」や「さやか」だ。
しかし2015年に網走市でシロシストセンチュウという新種の発生。
農林水産省のウェブサイトでもその戦いの記録を見ることができる。
- ジャガイモシロシストセンチュウに関する情報(農林水産省)
現在、日本国内の品種にはひとつも抵抗性品種が存在しないという。
となると殺線虫剤が不可欠だから有機栽培が難しくなる?
なお直近の情報としては抵抗性品種のトマトで駆除を試みるものがあった。
- シストセンチュウに対して、抵抗性と密度低減効果を持つトマトの開発に成功(カゴメ・ニュースリリース 2019年9月5日)
じゃがいも料理が大好きだから、今後の動向に注目したい。
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