暴落はなぜ起こるのか?について、ふと思い出した羽生善治さんの言葉。
2009年に出版された翻訳家、柳瀬尚紀との対談集で、
将棋の手は突き詰めるとマイナスの手ばかりになっていくという一節。
「なぜマイナスの選択しかなくなるかというと、将棋の場合、プラスになることを積み重ねていくと、最後にそうなるんです。最初の、駒をあまり動かしていない状況ならば、プラスの手段はたくさんあります。でも、プラスの手を重ねていくうちに、いつかある飽和点に来るでしょう。これは、マーケットでも同じことです。すると、それ以上広がりがなくなってしまいます。ですから、将棋でも、プラスの手を積み重ねていくから、だんだん選択肢としてマイナスの手が多くなってゆくんです。」
と語り、最後に
「最も効率的なことをやり続けていくことは、原則として不可能です。」
と締めている。
そういえば、市場の暴落も行き過ぎた効率化の果てで起こるように思う。
流れとしては次のようなイメージだ。
- 株式市場の効率性が高まることと、株価が真の価値に近づくこととを同義と仮定。
- 瞬間的なミスプライスに乗じて利益をあげようとする投資家がしのぎを削るように。
- 競争激化によって、どんどん差益が小さくなる。
- レバレッジを効かせることで、リターンをこれまで通りの保とうとする。
- ボラティリティが低下し、市場が安定しているように見えるが…。
- 何かの悪材料をきっかけに、レバレッジの巻き戻しで暴落へつながる。
金融関係の技術革新はつねに効率性を追求するばかりで、
「遊びを残す」みたいな発想がないから市場が不安定なのでは?
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