予測能力に優れた人の流儀/フィリップ・テトロック&ダン・ガードナー「超予測力」

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超予測力」(原題は”Super forecasting”)。

投資家としてはもちろん関心が高く、この本の存在は知っていたが、
タイトルが怪しすぎて今まで敬遠していた一冊が文庫化されていた。

実際には怪しい内容ではなく、数千人のボランティアの中から、
予測能力が優れた人(本書では「超予測者」と呼ぶ)を選び、
その思考プロセスの検証したものをまとめた本だった。

「予測力は生まれつき備わった神秘的な才能などではない。特定のモノの考え方、情報の集め方、自らの考えを更新していく方法の産物である。知的で思慮深く意志の強い人なら、だれでもこの思考法を身に着け、伸ばしていくことができる。」

そして私たち一人一人が予測に対する正しい物の見方を身につけ、
専門家による責任逃れのための曖昧な予測に対し、厳しい目を持つことが、
空虚な議論を防ぎ、予測と検証を通じて社会が賢くなる、と説いていた。

また本書にまとめられた超予測者の思考的特徴は、
投資家にとってこの上なく重要なので、以下にメモしておく。

超予測者に共通する特徴

モノの考え方

  • 慎重…確実なことは何もない
  • 謙虚…現実はどこまでも複雑である。
  • 非決定論的…何が起きるかはあらかじめ決まっているわけではなく、起こらない可能性もある。

能力や思考スタイル

  • 積極的柔軟性…意見とは死守すべき宝ではなく、検証すべき仮説である。
  • 知的で博識。認知欲求が強い…知的好奇心が旺盛で、パズルや知的剌激を好む。
  • 思慮深い…内省的で自己を批判的に見ることができる。
  • 数字に強い…数字を扱うのが得意である。

予測の方法

  • 現実的…特定の思想や考えに固執しない。
  • 分析的…鼻先越しの視点から一歩下がり、他の視点を検討する。
  • トンボの目…多様な視点を大切にし、それを自らの視点に取り込む。
  • 確率論的…可能性を多段階評価する。
  • 慎重な更新…事実が変われば意見を変える。
  • 心理バイアスの直観的理解…自分の思考に認知的、感情的なバイアスが影響していないか確認することの重要性を意識している。

努力に対する考え方

  • しなやかマインドセット…能力は伸ばせると信じる。
  • やり抜く力…どれだけ時間がかかろうと、努力しつづける強い意志がある。

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