平易な言葉で本質を説く/酒井雄哉「一日一生」

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投資家の職業病なのか、経済情勢と合わせて思い出すのだが、
リーマン・ショック直後にベストセラーになった一冊、

ずいぶん久しぶり読み返した。著者は2013年に亡くなっている。

著者は過酷な修行で知られる比叡山の「千日回峰行」を2度満行。
比叡山の歴史上、この修行を2度満行したのは、たったの3人。

そんな歴史に残る名僧の言葉は、平易で本質を突いたものばかり。
誰にでも理解できる言葉で話せるのは、物事を深く理解しているから。

でも人間とは愚かなもので、自分をよく見せようとして、
難しい専門用語を織り交ぜ(最近はカタカナ用語の多用が特に多い)、
受け手の理解は考えずに悦に浸る、なんてことをやってしまいがち。

「人間のすることで、何が偉くて、何が偉くないということはないんじゃないかな。仏さんからみればみんな平等。自分の与えられた人生を大事に、こつこつと繰り返すことが大事なのじゃないかな。・・・自分の身の丈に合ったことを、毎日毎日、一生懸命やることが大事なんじゃないの。」

人間の名誉やプライドなど、仏の前では無価値と悟ること。
物事の本質を見抜くためのスタート地点はここにある。
そして答えのない問いを考え続けること。

「自分なりに腑に落ちると、人はついそこで考えるのをやめにしちゃう。でも、答えが分からないといつまでも考えるだろう。肝心なのは答えを得ることじゃなく、考え続けることなんだな。」

「すぐ分からなくていい。時間がかかってもいいから、自分が実践してみたことや体験したことの意味を、大切に考え続けてみるといい。「ああ、あれはそういうことかもしれない……」と思ったとき、自分の物になっているのに気づくだろう。」

たとえば私たちは安易に善悪の境界の引きたがるが、
人生をはじめ経済や社会のこれまで(現在・過去)は、
これから起きること(未来)によって、再評価し続けられるものだ。
こうして常に変化する以上、考え続ける以外に方法はない。

「自分から見て、どんなに正しいと思えることでも、もしかしたらいろいろなことにとらわれてそう見えているのかもしれない。自分がどんな立場でそれを見ているのかということをいつもいつも確かめないといけないんだな。」

また物の見方や心の有り様は、いろいろなものに左右されうつろうもの。
ひとつの視点ではなく、いろいろな角度から物事を見つけなければいけない。
それには心の余裕も必要なのかもしれない。

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