角山栄「茶の世界史-緑茶の文化と紅茶の社会」
いろいろと考えが広がって、楽しめた本だった。
臼井隆一郎「コーヒーが廻り、世界史が廻る」と共にお薦めしたい。
広い視野で歴史を見て、面白そうな部分をピックアップするのも役立つけど、
1つのものにスポットを当てて、そこから視野を広げるのも非常に興味深い。
この本で他にも目を引いたのは、ヨーロッパに最初にもたらされたお茶は、
オランダ東インド会社が1610年に日本の平戸で買った日本茶がだったってこと。
この話のついでに、16~17世紀のオランダの繁栄の基礎は、
日本の銀にあった、なんて著者の仮説が出てくるのも興味深い。
たしかに1668年の江戸幕府による銀輸出の停止とオランダの衰退は重なるかも。
あと開港以降の明治時代、日本茶の輸出に力を入れていたんだけど、
オーストラリアやアメリカで市場開拓に、はずみがつきそうになっても
不純物の混合や着色料の添付などで、信用を失ってしまう。
そうこうしているうちに、市場を紅茶に奪われていく…。
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