確定拠出年金をはじめるにあたり今一度、考え直しているのが、
ポートフォリオに新興国株式を入れる必要があるかどうか。
インデックスファンドに投資することになるからね。
新興国へ投資してこなかった理由
BRICsが話題になった頃、サッカー好きだからという理由で、
ブラジルには少しだけ投資していた時期はあった。
でも原則として新興国には投資せず、2008年に書き残した理由がこれ。
- 株式のリターンが国の経済成長を先取りすることはあるが、国の経済成長が株式の将来のリターンを先取りはしない。
- 時価総額の小さな市場に熱狂した資金の組み合わせは、長期的に見て高いリターンをもたらすことはない。
- 先進国の国際優良企業が新興国の経済成長の恩恵を横取りするから、「新興国の経済成長=新興国の企業の利益成長→株価の上昇」という図式は成り立たない。
これを書いた後に起きたリーマン・ショック以降の
Vanguard Emerging Markets Stock(VWO)
のパッとしない成績を見ると、たまたま当たったようだ。
今回、向こう20~30年の見通しを再検討する上で参考にしたのが、
ウォーラーステインの世界システム論
アメリカの社会学・歴史学者のイマニュエル・ウォーラーステインが唱えた理論。
ウォーラーステイン本人の著書にはまだ手を付けていないが、
翻訳を担当し、日本に世界システム論を紹介した学者の本をまず読んだ。
- 川北稔「世界システム論講義」
ごく簡単にまとめておくと、ウォーラーステイン以前の常識は、
後進国から先進国への段階的発展論
であり新興国投資への期待はおそらくこの考えに由来する。
だがこの考えには二つの前提が必要で、
- 歴史は「国」単位で展開する
- すべての「国」が同じ発展コースを同じ方向を向いて走る
と世界をあまりに単純化して考えすぎと言えるだろう。
これに対し世界をひとつのまとまったシステムとして捉えたのが、
世界システム論
大航海時代以降の世界は、世界的な分業体制がなされており、
それぞれの生産物を交換することで世界経済が成りたっている。
世界は「中核」と「周辺」の地域に分けることができ、
- 中核…世界的な分業体制から多くの利益を吸収できる地域
- 周辺…食料や原材料の生産に特化させられ「中核」に従属させられる地域
今日の南北問題に当てはめるなら、
「「北」の国が「工業化」され、「開発」される過程そのものにおいて、「南」の諸国がその食料・原材料生産地として猛烈に「開発」された結果、経済や社会のあり方がゆがんでしまったことから、生じたのである。つまり、「南」は何も手を加えられなかったのではなく、猛烈に「低開発化」されたのである。」P26
「中核」の経済成長の鈍化がはじまった頃に、
鳴り物入りで登場したBRICsやNEXT11というキーワード。
「周辺」がやがて「中核」へになる、というのは難しいのでは?
世界システム論を支持するのなら、新興国投資は不要といえるかも。
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