私が資料を作るときによく使用する図解にこんなのがある。
企業は投資家・従業員・消費者すべての要求を満たすことは不可能だから、
投資家が自分さえ儲かればという姿勢でいると、
- 商品やサービスの品質低下(偽装問題)
- 給料が低く抑えられる(労働問題)
という形で結局自分に跳ね返ってくる、という話であったり、
今の時代、企業は投資家・消費者を優先しているように見えるから、
従業員としての給与だけに頼らず、投資を通じて取り返すと考えてみては?
と投資をはじめるきっかけとして提案してみたり。
投資家・従業員・消費者を三位一体で捉えているわけだが、
より広い視点で、時代によって社会でどのようなくくり方がされていたのか、
なるほど!と感じた捉え方が長沼伸一郎「現代経済学の直観的方法」にあった。
経済学の勝者を決める同盟ゲーム
19世紀には投資家と企業家が結んで資本家と呼ばれて、労働者に対して優位に立ち、
20世紀半ばは失業問題が深刻化に対応して、企業家と労働者が手を結ぶ。
そして1980年代以降は投資家と消費者が結んで、生産者に対して優位に立つ時代。
「いつの時代においても2対1の同盟関係の構図において多数派の側に立っている者が、経済理論の主流になってそこを制していたということがよく分かる。つまり一見アカデミックな経済学の興亡も、実は多分にこのような一種の同盟ゲームに裏から支配されていたと見ることもできるわけである。」
ふと思い当たることがある。
ESG投資の概念がリーマン・ショック以降に急速に広がったのは、
投資家が消費者との同盟を維持するために必要だったからでは…。
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