手に入れることよりも、手放すことの方が難しいもの。
たとえば投資でも安く買うことより高く売ることが難しいように、
人生のあらゆる場面で同じような局面に遭遇するだろう。
そしてお金は稼ぐことよりも使い方がむずかしい。
これは近年の日本政府が見せつけたことでもあるけど、
個人のレベルでも「正しいお金の使い方」ってなんだろう?
村上春樹さんがこんなことを言っている。
「お金で買うことのできるもっとも素晴らしいものは、時間と自由である、というのが僕の昔から変わらない信念です。・・・いちばん重要なことは、お金があってもなくても、自分の魂をどこまで飢えた状態においておけるかということだと思います。」
---「村上春樹インタビュー集1997-2009」P175
時間と自由。
手なずけるのが難しい猛獣なんだよね。
人は何をしても自由と言われたら、意外と何もできないもの。
暇をもてあまし、その魂は飢えた状態から遠ざかってしまう。
完全な自由はかえって不自由。
そういえば19世紀のフランス人作家バルザックが、
「優雅な生活論」と称して53の格言を提示していた。
いくつか目に止まったものを並べてみよう。
- 文明人、野蛮人を問わず、人生の目的は休息にある。
- 全くの休息は憂鬱を生む。
- 優雅な生活とは、大きく言って休息を楽しくする術をいう。
- つねひごろ労働に勤しんでいる者には優雅な生活がわからない。
- 優雅はたしかに技巧よりセンスの問題だが、本能や習慣にも由来する
- 贅沢より優雅の方がかえって高くつく。
- 優雅な生活とは巧まざる自尊心の発現なのだから、露骨に虚栄心を覗かせるのは無駄なこと。
- すべてはあるがままの姿で。
- 野蛮人は身をくるみ、金持ちや馬鹿は飾り立て、優雅の士は服を着こなす。
- お洒落とは学問であり、芸術であり、習慣であり、感性である。
時間と自由を手に入れて優雅な生活か…難しいなぁ。
私は20代には「お金」を求め、30代になると「遁世」を求めてきた。
両極端の2つを踏まえ、今思う理想の生き方は、
「世を捨てても、世に捨てられない」ってとこかな。
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