失ってはじめて、それがどんなに大切だったかに気がついて…
なんて悲しんでも、はじめから何もなかったのかもしれないし、
何の希望もないと思っても、実は希望に満ちあふれていたりする。
「ある」と「ない」は少し見方を変えれば同じことなんだ。
世の中は 夢かうつつか うつつとも
夢とも知らず ありてなければ
古今和歌集に収録される「よみ人知らず」の一首。
この世は夢か現実(うつつ)か分からない。
たしかに今は「ある」ように見えても、いつかは「なくなる」もの。
あるいは、そもそも「なかった」のかもしれない。そんな感じの歌。
この感覚は「あはれ・はかなし」に通じているからといって、
日本特有の無常観を表したものではない。
11世紀ペルシアの詩人、オマル・ハイヤーム「ルバイヤート」には、
ないものにも掌の中の風があり、
あるものには崩壊と不足しかない。
ないかと思えば、すべてのものがあり、
あるかと見れば、すべてのものがない。
なんて詩が残されており、世界共通の感覚ともいえる。
そして今も変わらず、私たちの思考法は、
うつろいやすい心の上に主観的な世界認識を積み上げるもの。
つまり絶対的な価値基準なんてどこにも存在しないんだ。
夢や目標がなければ生きていけない、なんていうのもウソ。
予想もしなかった偶然の先に楽しいことがあるものだから、
何も考えずに目の前のことをとにかく「楽しむ♪」。
だから人生で一番大切なのは「おもしろがる」力や感覚。
そんなことを強く感じる今日この頃だ。
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