月と気候がストラディヴァリウスの音色の秘密?

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新月とストラディバリウス

先日のテレビ番組「林先生が驚く初耳学!」で、
ストラディヴァリウスの音色の秘密は月にあると解説されていた。

新月の時に切った木は水分も少なくデンプンが少ないので乾いて腐りにくい。

番組内では法隆寺も新月伐採の木材を使っているとあったが、
法隆寺の宮大工に代々伝わる口伝にそんな話はなかったぞ。
西岡常一が生前に語った口伝の中で木材の伐採に関わる部分を抜き出すと、

  • 堂塔建立の用材は、木を買わず山を買え。
  • 木は生育の方位のままに使え。
  • 堂塔の木組みは木の癖で組め。

山から木が伐採され、製材された後では木の癖が分からない。
たとえば西からの強い風を受けて育った木は東に捻れ、
時とともに元に戻ろうするから、その癖を知る必要がある。
また山の南斜面で育った木は、塔の南側に使うとよい。

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こんなように名器や名建築は新月だけの要因で説明できないということ。
それに新月伐採だけでは現代の名工の製作したヴァイオリンでも、
ストラディヴァリウスの音色に敵わない根拠にならないだろう。
当時と同じように新月の日に木材を伐採すれば再現できるはずだから。

気候変動とストラディバリウス

ストラディヴァリウスの音色の秘密について、
最近読んだ本の中で信憑性が高そうなのが気候変動との関係。

もともとは太陽活動に関する話を追うなかで出会ったのだけど、

  • アントニオ・ストラディバリの黄金期(1700~1720年)
  • 太陽の活動が低迷したマウンダー極小期(1645~1715年)

が重なっていることに着目した気候学者と年輪研究者の研究。

マウンダー極小期の欧州はイギリスのテムズ川が氷るほど寒冷化。
寒冷な気候でヴァイオリンの材料となるトウヒの原木の成長が鈍化し、
年輪の幅が小さく固い材質になったことが美しい音色の秘密
であると。
これならは現代の技術で再現できない理由として納得ができる。

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