将棋のタイトル総なめした1995年の頃から現在まで、
羽生さん本人のコラムや対談記事を集めた一冊。
投資家の立場で読む本としては、
バフェットさんよりも羽生さんの言葉の方がしっくりくる。
「たとえばすごく大きなジグゾーパズルがあって、その中に一つピースを置いてみる。見当違いで何の実りもないことが多いんですけど、でも、もう一つ、もう一つと置いていくうちに、ときどき『あ、全体像はこういう感じになるんじゃないかな』と分かる瞬間があるんです。つまり、私は『こういう局面でどうするか』という個別の問題より、全体像としてこんな感じの絵になるんじゃないかなぁ、とか、こういう捉え方をすればいいんじゃないかなと、『考える』というより『捉える』ということをしているときが多いです。」
これって投資をする時の感覚にすごく近い。
まず未来予測は不可能というのが私の持論。
そんな考え方で、なぜ投資の意思決定ができるかと言えば…。
頭のなかにモヤっと理想の未来像みたいなのはあって、
初めに一単位だけ投資してみて、時間が経過していく中で、
それがあっていそうなら投資を続け、間違ってたら売却みたいな感覚。
「今のコンピュータの発見した良い手というのは、人間の美的センスには合致しない。言われてみたらそれもありかもしれないけど、人間は最初の段階で切り捨ててしまっている手であることが多いんです。人間はどんなことを『考えない』かを、コンピュータが浮き彫りにしてくれている。」
すっかり美学や美意識の方向へ流れてしまったので、
コンピュータで確率・統計的な分析も掛け合わせるといいのかも。
コーエンが指摘していた未来像ともつながるのかな。
でもあまりにたくさんの情報につかってしまうと・・・
「非常に情報化が進んだ社会の中で、難しいのは情報にあまりに触れすぎてしまうと、先入観や思い込みができてしまって、なかなか斬新な発想や、大胆なアイデアが思い浮かびにくい傾向になることです。ですから私は最小限の情報は押さえておきますが、そこから先は自分自身のオリジナルな何かを作っていけたら良いと思っています。」
最新の経済情報との距離感は本当に難しい。
日経新聞を読まないなんことは当たり前として、
日々の感覚の先端で、いかにして物事の本質を捉えるか?
長く活躍する羽生さんの思考法にヒントを求め続けている。
コメント