サステナブルなレストランとは?(レフェルヴェソンス・生江シェフ)

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味の素食の文化センターが開催する食文化にまつわるシンポジウムが、
今年はオンライン配信に変更されて便利になった。

今回のテーマは「食のサステナビリティ」。

ちなみに去年の参加メモは、

木乃婦・髙橋拓児さんに引き続き、
今年はレフェルヴェソンス生江史伸さんが登壇。
登場する料理人が豪華だ。

生江シェフはここ半年から1年の間に、
サステナビリティをテーマにした取材が急激に増え、戸惑っている様子。
サステナブルなレストランとは、地産地消のような話ではなく、
人と人とのつながりを大切にすることなのだ、という話が印象的だった。


サステナビリティというと、田舎のレストランという思い込みがあった。
地元のオーガニック食材を使って地球に負担をかけない、というように。

でも今重視されるのは人間性を追求するレストラン。

  • 労働環境をどうやって整えているか(従業員を平等に扱っているか)
  • レストランと社会との関わり合い(地元への貢献)

それがサステナビリティにつながっていくのだ、という考え方が大切。

レストランは生産者と食事をするお客様の中間地点の立ち位置で、
お金やエネルギー、意見を運んでいく役割をしている。
そのつなぎ役であるということを強く意識している。

その具体的な方法として、厨房で100%調理せず、
最後の10~20%をお客様の前で仕上げるメニューに取り入れ、
お客様と心を通わせる時間が増えるように工夫している。

もしうちのレストランで食事をして、お客様が幸せな気持ちになれたなら、
それを今度は他の誰かのために使って欲しい。

そのきっかけになるために、今までは創造的・革新的な料理を提供して、
お客様に日常に驚きや新鮮味を与えようとしてきたが、考え方を変えた。

レフェルヴェソンスに行ったら、こういう経験をした、楽しかった、
ということが他の方々に伝わりやすいような方法を考えていきたい。


以上がなるほど!と感銘を受け、書き留めた生江シェフの話。

でも現実的には生江シェフの理想を追求しようとすると、
ランチ、ディナーを問わず1人28,000円(税・サービス別)、
というお値段になってしまうのがなんとも悩ましいところ。

今春の緊急事態宣言以前のランチは1人10,000円だったが、
今は旅行と比べてしまって、手が出なくなってしまった…。

最近はサステナビリティ、SDGs、ESG投資などを語る人が増えたが、
世界の大問題を突きつけられても、どうも自分事として捉えられない。

大きなことを考えたければ、まずは身近なことを丁寧に向き合うべき。
人生の根幹をなす「食」から考えるというのが効果的なのでは?
日々の食事をおろそかにして、これからの社会を読み解くことはできないのでは?

これまで以上に「料理をすることの意義」を悟った時期でもだったので、
このシンポジウムはとても心に響く内容だった。

締めくくりのロバート・キャンベルさんの話がまたよかった。

「持続可能性、SDGsは本当にお題目のようにいろいろなところで耳にすることもありますし、学ぶ機会も増えていると思います。けれども自分のこととして、そして自分の生活の半径の中で一点一点をどうやってそこを自覚して、そんなに大真面目に自分の課題としてという姿勢ではなくて、自然に自分とちょっと異なる角度で暮らしている人のぬくもりであるとか経験ということを考えて動く。それによって自分も何かをそこで得る、元気になるということ、実はそこにはたくさんの種がある。ということを今日はお話を聞きながら実感しました。」

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