「きす」以上に深刻な「めごち」。江戸前の天ぷらが消滅の危機。

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「てんぷら前平」で美味を堪能し、前平智一さんのお話を伺っていると、
東京湾の異変を実感させられ、いろいろと調べたくなる。

千葉県竹岡港で揚がる「鱚(きす)」について伺ったのがきっかけで、
その後も情報を追い続けている。

江戸前のきすが入手困難になりつつあるため、
前平さんは九州や瀬戸内などから、きすを取り寄せることもしたが、
江戸前とは味がまるで違うため、お客さんには出せないとのこと。

なぜ江戸前の魚が天ぷらにピッタリなのかは、
以前、天ぷらの神様、早乙女哲哉さんの講演等でも伺った。

  • 東京湾は入り江が狭く、中が広いから、塩分の濃度が低く、波も穏やか。
  • 250河川が東京湾に流れ込み、植物性プランクトンを運んでくる。

だから、皮が薄く、骨も薄いお公家様のような魚が育つ。
これが天ぷらや鮨にピッタリ合うのだ。

近年、東京湾に限らず、海の異変が顕在化してきているが、

前平さんによると最近、東京湾で沖縄の県魚、グルクンが揚がるそうで、
海水温上昇が江戸前の魚に影響を与えているのは間違いないだろうと。

また、きす以上に近年、入手困難なのが「めごち」だという。
それを伺って、めごちの東京卸売市場の統計を調べたところ…

きすは同じ期間で取引量が半分以下になっているが、
めごちは10分の1以下に減っており、きす以上の危機的状況が読み取れる。

納得のいく食材が手に入らなくなる上に、止まらない揚げ油の価格高騰。
江戸前の天ぷら、というジャンルのグルメ自体が消滅してしまうのでは…。

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