GDPの個人消費から外食費の増加が読みとれないにも関わらず、
- 料理の提供価格の上昇
- 若手料理人の独立開業の増加
- 既存店舗の移転・拡大
が起きているのは危険な兆候では?といった話を2年前に書いた。
- 食が情報として消費される世の中への嘆き/柏井壽「グルメぎらい」(18/07/08)
- 京料理までもがファッションフード化?/畑中三応子「ファッションフード、あります。」(18/07/10)
COVID-19の襲来という思わぬ形だったとはいえ、崩壊がはじまった。
長い修行期間に込められた先人の知恵
ぼんやりとしか覚えていないが以前、
日本料理の料理人(鮨職人だったかな?)が、
長期間修行しないと独立できないのはいかがなものか?
実力があるならさっさと自分の店を持つべきだ!
というような議論があったように思う。
しかし危機になって修行・独立の仕組みが良くできていることに気付く。
好景気時に料理人が次々と独立し、業界の規模が大きくなってしまうと、
経済危機が訪れたときにすべての店が共倒れになってしまう。
長い修行期間へての独立や師匠から店を受け継ぐ、といった形で、
業界内の新規出店数を抑えることで、必ずやってく景気の波に備える。
いわゆる先人の知恵だったのではないか。
ソーシャル・ディスタンスで代わる店の形
また食べログが普及して、ちょうど10年くらい経つだろうか。
あれ以来、料理人の立場で考えてみれば、
高い家賃を払って、ホテルや百貨店等のの一等地に店を構えなくても、
心をこめて美味しい料理をつくりさえすれば、口コミによってお店が繁盛する。
その可能性が独立への想いを後押ししていたと言える。
その流れで隠れ家的なこじんまりした店が多く開店したのだが…
今後はソーシャル・ディスタンスが叫ばれる中、経営が難しくなりそうだ。
とくに日本料理屋はカウンターでお酒が入って声の大きい客もいるので…。
なんとかなりそうなのは、強力な換気扇がある天ぷら屋くらいか?
そういえば不思議なことに2018年頃、
イタリア料理界の重鎮とされる面々が、店舗の拡大・リニューアルに走った。
- イタリア料理 シェフの系譜(18/06/20)
当初の目的とは違っただろうが、料理をいただく側の立場で考えると、
これからは客同士の距離がとれる広々とした店が、安心して料理を味わえる。
オフィススペースが縮小され、不動産家賃が下がるのなら、
料理屋やレストランの床面積は拡大の方向に向かうのだろうか。
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