バナナに絶滅の危機ふたたび! 生産効率追求の末路。

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バナナに絶滅の危機ふたたび!

バナナに絶滅の危機ふたたび!なんてニュースを夏に見かけた。

「ふたたび」というのがポイントで、
19世紀後半にユナイテッド・フルーツ社(現在のチキータ・ブランド)が、
グアテマラでグロスミッチェルという単一品種のバナナを大量生産して荒稼ぎ。

しかし遺伝的に同一の品種ゆえに、病原菌に感染すればひとたまりもない。
短期的な利益を追求するあまり、やがて起きるべきことが起きてしまう。

1890年にパナマ病によりグロスミッチェル種のバナナは壊滅してしまう。
パナマ病菌はひとたび襲来すると数十年は土壌に潜伏するため、
グロスミッチェル種のバナナを生産することは、もはや不可能。

そこでパナマ病に抵抗性を持つ品種として選ばれたのがキャベンディッシュ種。

なぜグロスミッチェル種が絶滅したのかに目を背け、
キャベンディッシュ種の一点張りの大量生産を続けて約100年。
1990年代からアジアでキャベンディッシュ種が感染する病原菌が見つかり、
アジア、オーストラリア、アフリカと広がり、ついに今年の8月南米に上陸。

手元の統計データ表(地理データファイル2019年度版)では、
世界のバナナ輸出量は上位4カ国は南米で6割を占める(2016年)。

  1. エクアドル(28.9%)
  2. コスタリカ(11.5%)
  3. グアテマラ(10.4%)
  4. コロンビア(8.9%)

うちで利用している東都生協のバナナを確認すると、
コロンビアのキャベンディッシュ種だった。
バナナが手に入りづらくなる日が近づいてきている。

単一品種栽培に潜むリスク

単一品種を大量生産して短期的な利益を追うという農業の形は、
種子ビジネスも絡み、バナナに限らずあらゆる作物に広がっている。

作物のタネには大きく分けて固定種とF1種の2種類があり、

  • 固定種…地域で何世代に渡って育てられ、自家採種を繰り返すことによって、その土地の環境に適応するように遺伝的に安定していった品種。
  • F1種(一代雑種/”First flial generation”)…異なる性質の種を人工的に掛け合わせて作った雑種の一代目。

種の一代目はメンデルの法則により優性形質だけが現れることから、
見た目が均一に揃うため、F1種が圧倒的な支持を集めている。

こうして食料生産を効率化・単純化するために、
遺伝的に均質な作物を大農場で栽培するようになったことで、
現代の人類が摂取するカロリーの90%は15種の植物に頼っている

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ダーウィンの自然淘汰

このあたりの問題はダーウィンの「種の起源」からも分かっていたこと。

「生物の生存にとって有用な変異が実際に起こるとすれば、そのような形質をもった個体は、生存闘争において保存される可能性が間違いなく最大になるだろう。・・・このようにして個体が保存されていく原理を、私は略して自然淘汰と呼んでいる。・・・自然淘汰は、形質の分岐も引き起こす。それは生物が構造、習性、体質面で分岐すればするほど、一つの地域に生息できる生物が増えるからである。・・・多様化した子孫ほど、生きるための闘いで勝利する可能性が高くなることだろう。」(光文社古典新訳文庫・上巻P224~225)

有名な「自然淘汰」について解説した一節。

この部分はビジネス書などで、自ら変化し環境に適応すること、
というような説明がされることが多いがアレは嘘。
(後世に書かれた要約本が曲解したものが広まっている模様)

上記に引用したようにダーウィンが主張した自然淘汰は、
多様な子孫を遺した種が環境が変わっても生き残りやすいことを指す。
これに逆行しているのがF1種による食物生産なのだ。

オマケ:女性役員比率の問題

投資の世界でも「ダイバーシティ」というキーワードを掲げて、
日本企業は海外企業に比べて女性役員が少ないのはけしからん!
という話をする人が増えたような気がする。

でも女性役員比率の海外比較を前面に押し出して、
海外と比べて日本は遅れてるから取り組むべし、
みたいな説明の仕方が多くて、なんだか味気ない。

上記のような農作物に起きている問題を紹介して、
長い目で見たときに企業の存続にも関係している話じゃないですか?
と説明した方が腑に落ちるんじゃないかな。

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