ガブリエル・タルドの「模倣の法則」。
1890年に書かれた社会学の歴史的名著なんだとか。
「模倣」を軸にした言葉の定義付けがおもしろいのでメモ。
- 社会集団とは、現時点で相互に模倣しあっている人々の集団(P115)
- 社会状態とは、催眠状態と同じく、夢の一形式(P126)
- 社会とは模倣であり、模倣とは一種の催眠状態(P138)
- 歴史とは、もっとも成功した事実の集合であり、もっとも模倣された発明の集合(P203)
- 模倣は内側(思想・目的)から外側(表現・手段)へと進む(P290)
いろいろと思い当たるフシがある。
「アイデアは模倣と編集によって生まれる」ものだから、
歴史上には模倣から生まれた創造があちこちにある。
でも「社会そのものが模倣から生じた」と説くとは大胆だ。
タルドの説く「模倣」について勘違いしてはいけないことが1つ。
上記の5番目にあげた「模倣は内側から外側」という点。
現代の「フラット化する社会」での模倣は「外側」ばかりで、
何かが創造される気配がない。(中国人の盗作がひどい例)
「大衆とは良い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、自分はすべての人と同じであると感じ、そのことに苦痛を覚えるどころか、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出しているすべての人のことである。」
---オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」P17
大衆が烏合の衆になってしまった、ってことだろうか。
そして平等化や均質化は創造性や多様性と対立する。
・・・ちょっと気になることがあるから、たぶん続きを書くと思う。>>>つづく
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