世界には現在、約6,000の言語が存在しているらしい。
そして21世紀中にその8割以上が消滅する…。
- 豊かさを求めて都市部に人口が集中
- 政治的統一を図りたい国家の強制
- 通信手段の発達(インターネットなど)
- 英語が世界全域に流通する言語となった
といったところがその背景だろう。
支配的な言語のもとに経済的な利益が集まるものだからね。
20世紀後半のアメリカの繁栄とGoogleのセットは強烈だった。
でも、言語の多様性は文化の多様性の裏返し。
そして世界の文化の平均化・均質化は創造性の敵だ。
「確立された完全な対称の中に、部分的で偶発性のものでない破壊が突如として生ずることがある。この破壊はすでに形成されている平衡を複雑にする。このような破壊が厳密な意味での反対称である。反対称は、結果として反対称が生じた構造あるいは組織を豊かにする。すなわちこれらに新しい特性を与え、より高度の水準に移行させる。」
---ロジェ・カイヨワ「反対称」
またダニエル・ネトルとスザンヌ・ロメインの共著、
「消えゆく言語たち」にはちょっとおもしろい指摘がある。
言語と生物の多様性が存在する地域が重なるのでは?
生物多様性を語るなら言語の多様性を忘れるな!と。
- なぜ生態系を保護すべきなのか?(12/11/07)
生態系のみの主張はどうにも怪しい。
言語や文化を交えた議論が必要なのかもしれない。
オマケで企業経営について。
一部の日本企業が「社内公用語を英語に」と打ち出している。
もし商品・サービスの背景に日本の特徴があるなら自殺行為。
言語を捨てることは、文化を捨てることと同じなのだから。
ムダに長い日本語の社内文章の1枚目に英語の要約文を付ける、
みたいな運用で、文化を守り、創造性を育む工夫が必要だよ。
参考文献
・ダニエル・ネトル&スザンヌ・ロメイン「消えゆく言語たち」
・水村美苗「日本語が亡びるとき」
・松岡正剛「空海の夢」(カイヨワの引用)
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