「数字まみれ」の現代が私たちに与える影響

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ミカエル・ダレーン、ヘルゲ・トルビョルンセンの共著「数字まみれ」。
邦訳の副題には、「なんでも数値化がもたらす残念な人生」とあり、
原題は「MORE. NUMBERS. EVERY. DAY.」。

かつては数値化が不可能な領域がたくさんあり、
自分で考え、推論し、評価する主観性が必須だった。
しかし今ではあらゆるものが数値化されるようになった。
そして身の回りの数字によって、私たちが受けている影響はなにか?

本書に登場する実験等、気になる記述を書き出すと、

  • 運動や読書の成果を数値化した実験。活動当初はわずかに実績が上がるが、次第に意欲が薄れていき、実験後も実験後も活動を続けたいという人は減った。計測と定量化(外発的な動機)の副作用は、やる気と意志があっと言う間に薄れること、また自己執着的になり、ひどい場合には自己陶酔に陥ることも。
  • ホテルやレストランの評価を数値化したり、他社の採点を目にすることで、楽しかったはずの経験が台無しになってしまうことがある。個々人の経験を比較すればするほど、どの経験も特別なものとして目立つことが難しくなってしまう。
  • 数字が含まれたニュースと、数字がないニュースの2種類を聞かせる実験。数字が含まれたニュースを聞いた被験者の脳は、前頭前野の活動が少ない。つまり数字があると人は深く考えなくなる。ニュースの受けてだけでなく、書き手も記事内で数字を使えば使うほど、個人的な見解の記述が減る傾向がある。

私たちは数字は客観的でいつも正しいと思いがち。
だからフォロワー数の多い人の発言が正しいと思い込んだり、
閲覧数の多いニュースに信憑性があると考えてしまったりする。

でも、人は時に嘘をついたり、事実を脚色したりするから、
しょせん数字は人間が作り上げたものさしにすぎない、
ということを常に頭に入れて置かなければならない。

数字まみれ: 「なんでも数値化」がもたらす残念な人生
東洋経済新報社
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