紅葉の和歌といえば/百人一首17「ちはやぶる…」

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紅葉の時期が近づいてきた。

東京でもほんのり色付きはじめた木も見かける。

紅葉の和歌といえば真っ先に思い浮かぶのが、

百人一首に収録される在原業平の一首。

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川

からくれなゐに 水くくるとは

多くの専門家は口を揃えて、

業平はもっと良い歌をたくさん詠んだのに、

なぜこの歌が百人一首に選ばれたのか疑問と言う。

でも子供の頃、私にはこの歌は覚えやすかったし、

川を鮮やかに染める紅葉が目に浮かぶようで好き。

からくれなゐ(唐紅)…鮮やかな濃い紅色のこと

引用元の古今和歌集(294)には、

二条の后の東宮の御息所と申しける時に、御屏風に竜田川に紅葉流れたるかたをかけりけるを題にてよめる。

屏風絵をめでた歌である旨の詞書きが付され、

素性法師が詠んだ一首(293)と一緒に掲載されている。

もみぢ葉の 流れてとまる みなとには

くれなゐ深き 波や立つらむ

業平は入内前の二条の后(藤原高子)と恋仲にあった。

伊勢物語に描かれたように有名な話だったようだから、

素性法師の歌は2人の過去を揶揄しているような…。

そして「からくれなゐ」に染まっていたのは、

かつての業平自身の心だったのかもしれないね。

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