百人一首

百人一首

愛ゆえに気付く命の尊さ/百人一首50「君がため…」

百人一首の恋歌で、なんとなく親しみがわくのは、陽成院の「恋ぞつもりて…」とこの一首だ。 君がため 惜しからざらし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな あなたのためなら、命も惜しくないと思っていた。 で...
万葉集

もみじが「黄」から「紅」に変わる頃に/百人一首24「紅葉の錦 神のまにまに」

もみじの語源 かつて日本人は 無文字社会からの移行期の万葉仮名の時代、 木の葉が色を変えることを「モミツ(毛美都)」と呼んでいた。 それが「モミチ(毛美知)」と名詞化し、万葉集の時代になると、 「黄葉...
百人一首

長谷観音に願いをかけて/百人一首74「初瀬の山おろし」

うかりける 人を初瀬の 山おろし はげしかれとは 祈らぬものを 金葉和歌集の撰者、源俊頼(1055~1129)の一首。 初瀬は現在の奈良県桜井市の地名でもあり、この地の長谷寺に祀られる十一面観世音菩薩...
万葉集

万葉人の桜/百人一首61「奈良の都の八重桜」

いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな 藤原道長の娘で一条天皇の中宮・彰子に仕えた歌人の一首。奈良から宮中(九重)に献上された八重桜を愛でている。 平安時代には京都では八重桜は珍し...
万葉集

神の山になびく洗濯物?/百人一首2「天の香具山」

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 持統天皇(645~702)の一首で、万葉集(巻1・28)に収録されている。 この時代の都は現在の奈良県橿原市の藤原京にあり、そこから東に香具山、...
食文化と美食探訪

七草の習慣が庶民に広がるのは平安末期?/百人一首15「若菜摘む」

君がため 春の野に 出でて若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ 百人一首に収録される光孝天皇(830~887)の和歌。 意味を知らずに読むとなぜ天皇が葉を摘んでいるのか?となるが、実はここでの「若菜」と...
百人一首

12,000首からの100首。百人一首は定家の記憶力の賜物?

百人一首に収録された和歌の引用元の勅撰和歌集を辿ってみると、百人一首成立以前の勅撰和歌集からまんべんなく採られていた。 もしかすると撰者とされる藤原定家は、過去の勅撰和歌集に収録された和歌をだいたい覚...
百人一首

立花宗茂と小野篁、日本史上稀な復活劇。

柳川藩主立花邸「御花」で結婚式をした。この地を治めていた立花家の別邸だった場所に、立花家16代が旅館と料亭の営業を開始し現在に至る。※挙式の担当者がなんと立花家18代目にあたる方だった。 立花家2代目...
百人一首

陽成院の生きた時代/百人一首13「恋ぞつもりて…」

小倉百人一首13番目に収録される陽成院の和歌。 筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる 筑波山の峰から流れる男女川の水が集まり、 やがて淵となるように、 あるかないか小さな恋心が積...
百人一首

散る桜の和歌/百人一首33「静心なく花の散るらむ」

散り始めた桜。 その情景を詠った百人一首の和歌と言えば、 ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ 古今和歌集の撰者の棟梁、紀友則の一首。 上三句に穏やかな春の情景美を描く一方で、 下...
百人一首

小町が桜に込めた想い/百人一首9「花の色は…」

百人一首に収録された桜歌で代表的な和歌と言えば、 小野小町が詠んだこの歌だろうか。 花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に 美しい花もやがて散る…、私もおばさんになっちゃっ...
百人一首

用賀と百人一首の謎

世田谷美術館で「魯山人展」やってるよー! と誘ってもらって、初めて用賀の駅に降りて「?!」 まずは古代ローマの円形劇場風の階段がお出迎え。 そして駅から美術館のある砧公園までの道のりが凄い! 路面に百...
古今和歌集

紅葉の和歌といえば/百人一首17「ちはやぶる…」

紅葉の時期が近づいてきた。 東京でもほんのり色付きはじめた木も見かける。 紅葉の和歌といえば真っ先に思い浮かぶのが、 百人一首に収録される在原業平の一首。 ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれな...
百人一首

1000年以上も変わらぬ奇跡/百人一首7「三笠の山に…」

百人一首の暗記に挑戦したのは小学生の時。 恋はまだ分からない。日本語もあまり得意ではない。 そんな時期の私が一番最初に覚えたのが、 天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも 作者の阿...
百人一首

「待つ」とは信じ、祈ること/百人一首97「来ぬ人を…」

技術の進歩とともに、待ち時間の短い世の中になってきた。 だから人はしだいに待つことができなくなっていった。 混んでいる急行電車にムリヤリ乗ろうとする バス停で怖い顔をして立っている エレベーターのボタ...
百人一首

和歌の中の富士山/百人一首4「富士の高嶺に…」

富士山の噴火の最古の記録は781年なんだとか(続日本書紀)。 「天応元年七月癸亥駿河国言富士山下雨灰灰之所及木葉彫萎」 当時の富士山は今の桜島のように常に噴煙を上げていて、 小規模な噴火を繰り返しては...
お薦めの本

杉田圭「超訳百人一首 うた恋い。」

百人一首の歌が詠まれた背景を漫画化した本。 3作目が発売され、この夏にアニメ化も予定されているそうな。 2作目は六歌仙の在原業平、小野小町、文屋康秀を中心に、 3作目は「枕草子」の清少納言を中心に百人...
百人一首

失われゆく月のロマン

今年の中秋の名月は9月22日なんだって。先月は満月近くに、ちょうど多摩川の花火大会が重なり風流を楽しんだ。 もしも夜空に月がなかったら、、、なんて考えてみると、月が文芸の分野に与えた影響が、いかに大き...
日本の美意識

桜と日本

新年度、新学期のはじまりだから、頭の中から桜を散らしてみた。21種の勅撰和歌集、全190,423首を集めたという、和歌データベースで、「さくら」で検索してみると、5,686首ヒットした。約3%、その程...
百人一首

百人一首をもういちど

昔は意味も分からず丸暗記したけど、カルタ取りとして通りすぎるには、もったいない素材であることに今ごろになって気づいた。あいかわらず鈍感。百人一首の撰者は藤原定家(1162~1241年)。定家の日記「明...